芳賀 |
わたしは今、愛知県の岡崎市の美術博物館の
館長っていうのをやっておりまして。
その岡崎で、この源内展を考え始めたんです。
それを江戸東京博物館に持ってきて。
ですから、江戸東京博物館は
仮の姿なんですけどね、ほんとはね。 |
糸井 |
岡崎がほんとなんですか。 |
芳賀 |
これは岡崎で我々が考え出して、
いろいろとアイデアを広めて、
それで東京新聞と連携して動き出したわけです。
で、江戸東京博物館も、それに乗ってくれて、
それから仙台の東北歴史博物館ですか、あそこで
2月14日から3月21日まで。
それから岡崎に行きまして、
それが4月3日から5月9日まで。
それから九州福岡の福岡市博物館。
5月27日から7月4日ですね。
で、最後に源内の出身地である高松の
香川歴史博物館に行って終わり。
7月17日から8月29日です。
要するに8ヶ月近く及ぶわけです。
でもその中で、やっぱり面白いのは、
入口に、あの、源内の顔がいろいろに描いてある。
これは面白いんじゃないでしょうかね。 |
糸井 |
現代の人も描いてますよねぇ(笑)。 |
芳賀 |
そう、あの、漫画もあるでしょう、
水木しげるさんも、
みなもと太郎さんの漫画もあるし。
片岡球子先生の、左に春信が、
右に源内を描いた、大きな屏風も。
あれも面白い絵ですね。
それから源内が仕えていた讃岐藩の家老が、
源内が亡くなってから何十年か経ったとこで、
源内先生はこうだったっていうんで描いた絵。
顔から入ると、わりあい
面白いんじゃないかと思う。
面白い顔してるでしょ? |
糸井 |
あー、はぁ、はぁ、はぁ。 |
【「平賀源内」(『東西奇っ怪紳士録』原画:水木しげる】
株式会社水木プロダクション蔵 (C)水木プロ
【「平賀源内」(『風雲児たち』原画:みなもと太郎】作家蔵
【面構 浮世絵師鈴木春信と博物学者平賀源内:片岡球子】作家蔵
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芳賀 |
あの、目玉がクルクルッと回っていて。
江戸東京博物館のシンボルマークはご存知ですか?
写楽の浮世絵の、役者の絵から
目玉をとったわけですが、
源内の目玉もクルクルッとしてる。
いかにも源内は、好奇心旺盛で、それで不安で。
いつもなんかアイデアに満ちて、
今にもなんか口をききそうな感じで、
カッとしてて。
右手にこう、キセルを持っています。
その持ち方も、首を垂れて。 |
【平賀源内肖像:木村黙老著『戯作者考補遺』】慶応義塾図書館蔵
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糸井 |
ひじょうに女っぽいですよね。 |
芳賀 |
女学生がコーヒー茶椀を持つ、
今はどうかしらないけども、
昔は必ず小指が立ちましたね。
あれとおんなじようにして。
それから、本多髷というふうにして、
うんと細く、細いまげを高く吊り上げてる。 |
糸井 |
いわゆる、華奢ですよね、ぜんぶがね。 |
芳賀 |
華奢。ほんとはもうちょっと
恰幅が良かったはずですが。 |
糸井 |
ああ、そうですか。 |
芳賀 |
でもそういう印象が残ったんですよ。
で、これは、戯作者としての
源内の肖像といわれてます。
戯作者で、しかしやっぱりアイデアマンですね。
「おっ!? あんた、それはね‥‥」
って言い出しそうな顔。
源内の顔って、ひじょうに特色がありますので、
ぜひ、その顔から見ていって。
あー、源内はこうか、といって、
みなさんそれぞれ人相判断をして下さると
面白いと思いますね。
『西洋婦人図』は‥‥ |
【西洋婦人図:平賀源内】神戸市立博物館蔵(展示は複製)
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糸井 |
これは、美輪明宏さんみたいですね、ちょっとね。 |
会場 |
(笑) |
芳賀 |
あ、そっか。あ、なるほどね。 |
糸井 |
男顔に見えるんですよ。 |
芳賀 |
そうでしょ? だから源内の顔と似てるでしょ? |
糸井 |
あ〜。 |
芳賀 |
あれを反対向きにさすとこうなるの。
だから、この絵はほんとに
源内の作品だとわたくしは信じてるわけです。 |
糸井 |
つまりあの、ダ・ビンチの
モナリザ像みたいなことですね。 |
芳賀 |
まあ、そうですね。うん、ほんと。
で、それをまた横尾さんが
こうやってうまいことアレンジしてね。 |
糸井 |
横尾さんの印象も面白いですよねぇ。 |
芳賀 |
あの富士山のてっぺんには春信ですね。
また春信にも、どっか通じるところがある。
春信の華奢なところね。 |
糸井 |
うんうん。
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