江戸が知りたい。
東京ってなんだ?!



 

いよいよ明日、18日いっぱいで
江戸東京博物館の「平賀源内展」は終了です。
その後、 仙台・岡崎・福岡・香川へと
巡回をしますので、お近くのかたは
ぜひ、足を運んでみてくださいね。

芳賀先生とdarlingの対談も
いよいよ終盤にです。
今回は「顔」のお話。




第9回
顔の人、源内。

芳賀 わたしは今、愛知県の岡崎市の美術博物館の
館長っていうのをやっておりまして。
その岡崎で、この源内展を考え始めたんです。
それを江戸東京博物館に持ってきて。
ですから、江戸東京博物館は
仮の姿なんですけどね、ほんとはね。
糸井 岡崎がほんとなんですか。
芳賀 これは岡崎で我々が考え出して、
いろいろとアイデアを広めて、
それで東京新聞と連携して動き出したわけです。
で、江戸東京博物館も、それに乗ってくれて、
それから仙台の東北歴史博物館ですか、あそこで
2月14日から3月21日まで。
それから岡崎に行きまして、
それが4月3日から5月9日まで。
それから九州福岡の福岡市博物館。
5月27日から7月4日ですね。
で、最後に源内の出身地である高松の
香川歴史博物館に行って終わり。
7月17日から8月29日です。
要するに8ヶ月近く及ぶわけです。
でもその中で、やっぱり面白いのは、
入口に、あの、源内の顔がいろいろに描いてある。
これは面白いんじゃないでしょうかね。
糸井 現代の人も描いてますよねぇ(笑)。
芳賀 そう、あの、漫画もあるでしょう、
水木しげるさんも、
みなもと太郎さんの漫画もあるし。
片岡球子先生の、左に春信が、
右に源内を描いた、大きな屏風も。
あれも面白い絵ですね。
それから源内が仕えていた讃岐藩の家老が、
源内が亡くなってから何十年か経ったとこで、
源内先生はこうだったっていうんで描いた絵。
顔から入ると、わりあい
面白いんじゃないかと思う。
面白い顔してるでしょ?
糸井 あー、はぁ、はぁ、はぁ。

【「平賀源内」(『東西奇っ怪紳士録』原画:水木しげる】
株式会社水木プロダクション蔵 (C)水木プロ


【「平賀源内」(『風雲児たち』原画:みなもと太郎】作家蔵


【面構 浮世絵師鈴木春信と博物学者平賀源内:片岡球子】作家蔵
芳賀 あの、目玉がクルクルッと回っていて。
江戸東京博物館のシンボルマークはご存知ですか?
写楽の浮世絵の、役者の絵から
目玉をとったわけですが、
源内の目玉もクルクルッとしてる。
いかにも源内は、好奇心旺盛で、それで不安で。
いつもなんかアイデアに満ちて、
今にもなんか口をききそうな感じで、
カッとしてて。
右手にこう、キセルを持っています。
その持ち方も、首を垂れて。

【平賀源内肖像:木村黙老著『戯作者考補遺』】慶応義塾図書館蔵
糸井 ひじょうに女っぽいですよね。
芳賀 女学生がコーヒー茶椀を持つ、
今はどうかしらないけども、
昔は必ず小指が立ちましたね。
あれとおんなじようにして。
それから、本多髷というふうにして、
うんと細く、細いまげを高く吊り上げてる。
糸井 いわゆる、華奢ですよね、ぜんぶがね。
芳賀 華奢。ほんとはもうちょっと
恰幅が良かったはずですが。
糸井 ああ、そうですか。
芳賀 でもそういう印象が残ったんですよ。
で、これは、戯作者としての
源内の肖像といわれてます。
戯作者で、しかしやっぱりアイデアマンですね。
「おっ!? あんた、それはね‥‥」
って言い出しそうな顔。
源内の顔って、ひじょうに特色がありますので、
ぜひ、その顔から見ていって。
あー、源内はこうか、といって、
みなさんそれぞれ人相判断をして下さると
面白いと思いますね。
『西洋婦人図』は‥‥

【西洋婦人図:平賀源内】神戸市立博物館蔵(展示は複製)
糸井 これは、美輪明宏さんみたいですね、ちょっとね。
会場 (笑)
芳賀 あ、そっか。あ、なるほどね。
糸井 男顔に見えるんですよ。
芳賀 そうでしょ? だから源内の顔と似てるでしょ?
糸井 あ〜。
芳賀 あれを反対向きにさすとこうなるの。
だから、この絵はほんとに
源内の作品だとわたくしは信じてるわけです。
糸井 つまりあの、ダ・ビンチの
モナリザ像みたいなことですね。
芳賀 まあ、そうですね。うん、ほんと。
で、それをまた横尾さんが
こうやってうまいことアレンジしてね。
糸井 横尾さんの印象も面白いですよねぇ。
芳賀 あの富士山のてっぺんには春信ですね。
また春信にも、どっか通じるところがある。
春信の華奢なところね。
糸井 うんうん。

明日は最終回。
解体新書の話、杉田玄白との友情、
そして「ユビキタス」という言葉まで飛び出す!?


2004-01-17-SAT
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