「美しき日本 ― 大正昭和の旅」展

江戸博学芸員新田さんと小山さんのさらにくわしい解説


そして、これが特別室の画像です。
チャーリー・チャップリンも
泊ったというような部屋なんですね。
船内に1室だけ設けられた特別室は、
居室と寝室、浴室の3部屋から
構成されていました。
居室は、読書をしたり、
手紙を書いたりする
くつろぎのための部屋。
広さはそれほどないのですが、
磨きこまれた樫の木の壁と、
装飾ある窓に囲まれ、
豪華で温かみのある部屋となっています。

この部屋の柱や天井の木には、
花柄が彫られています。
それに併せて、こんなかたちの
照明が採用されていました。

これは、オウムの絵がほどこされている
特別室のステンドグラスです。
こういう窓とかもすごく気を遣っていて、
お客様を船旅で長く疲れてくると
どうしても緑が欲しくなるっていうことで、
このようなデザインの
ステンドグラスをはめていたんですね。
そして、ここは特別室なので、
外側から覗かれないようにという
目的もあったのでしょう。

寝室には藤と花のステンドグラスが。

こちらは一等社交室です。
一等船客たちの集いの部屋ですね。
一等運賃は250ドル(当時のレートで500円)、
1,000円あれば家が1軒たったという時代です。
ちなみに三等運賃はその5分の1の55ドルでした。
ここではティーパーティ、音楽会や寸劇などの
催し物が開催されたりしました。
部屋には大きな大理石製の暖炉が
しつらえられています。

船舶の構造から、船内の床や壁、柱は、
やや傾いて変形しています。
部屋の内寸が計算されてから、
これらの大きさと装飾が決められました。
氷川丸のアール・デコ様式は
この柱や照明、天井に見ることができます。

(小山)


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