「美しき日本 ― 大正昭和の旅」展
江戸博学芸員新田さんと小山さんのさらにくわしい解説
川瀬巴水自身によると、
作品の制作は必ずしも
名所を選んだものではなく、
気のおもむくままに描き
完成させたといいます。
大根がし(現、中央区京橋)や
寺島(現、墨田区東向島)など、
絵にとり上げられることがなかった街が
選ばれているんです。
こちらは大正9年「雪に暮るる寺島村」。
「雪の画家」とも呼ばれた川瀬巴水によって
夜の闇と雪の白さが対照的に表現され、
雪が降り積もる静かな街の様子が
見事に表現されています。
大正9年(1920)夏、
現在の京橋界隈にあった
青物市場(大根がし)を描いた図です。
この絵の3年後に関東大震災が発生し、
市場は築地などへ移ってしまうんですけれど。
これも、いいですよね。
川瀬巴水は、
すごく有名なところを
描いたわけではなくって、
どこにでもあるところを
描いていくっていうことを、
生涯に渡って
600点も続けていった人なんです。
(小山)
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