三谷さんの映画には、
役者さんたちがおもしろがってる感じが、
いつもありますよね。
そうだね。
そのたのしみっていうのは、
観客も仲間入りしてるようなたのしみ方なんです。
あれは、すごいなぁ。
いつもそう思うんですよねぇ。



いや、もう、そう言っていただけると。
今回のこれもさ、
まぁ、主役のふたりがね、
深津絵里ちゃんと西田敏行さん、
このふたりがいいのは、もうこれは‥‥


(C)2011 フジテレビ 東宝

当たり前。
でも当たり前にしても、やっぱりよかった。
とくに深津さんのちからは、
いま、すごいことになってますよね。
ええ、すばらしいです。
で、すごくよかったのが中井貴一ちゃん。
よかったですね。
すごくいい、コミカルで。
うれしいです。
よくできた裁判ものってさ、
検事役がいつもいいんだよ。



あぁ、そうか。
ぼくが思い出すのはね、
ゲイリー・クーパーの‥‥あれはなんだ?
兵隊のやつで、
クーパーがね、軍部批判をしちゃうんだよ。
それで軍法会議にかけられて‥‥
ああ、『軍法会議』だ、映画のタイトルは。
『軍法会議』。
うん。
それの検事役がね、
ロッド・スタイガーなんだ。
ああー。
それからね、ジェームズ・スチュワートの‥‥



『或る殺人』
そう。
あれが、ジョージ・C・スコットなんですね。
あぁ‥‥なんか、通じ合ってるなぁ(笑)。
だから検事役ってわりとこう、
性格俳優の名優たちがやるんですよね。
はい。
で、それはただの悪役じゃつまんないわけで。
そう、そう、だから‥‥
今回の中井貴一さんも、よかった。


(C)2011 フジテレビ 東宝

うん。
単純な悪役ではないわけだからね。
あとは、小日向文世さん。
もう予想通りの、
「いいに決まってる!」みたいな登場で。
あの役もよかったなぁ。


(C)2011 フジテレビ 東宝

ぼくとしては裁判長役の、小林隆も。
はい、よかったですね。
昔のたとえば、
『スミス都へ行く』の議長いましたよね。
なんていう人でしたっけ?
ハリー・ケリー
ハリー・ケリー。
あの人の人格者っぽい髪型が大好きで、
同じようなカツラを作ってもらったんです。
また、カツラなんですね。
一同 (笑)
浅野和之さんの不思議な芝居もよかった。
あれはですね、
ぼくは『金田一シリーズ』が大好きで。
ぼくのイメージだと、
金田一が訪ねる村の旅館のオヤジって、
だいたい三木のり平さんだったので、
今回の浅野さんは、
ぼくの中で三木のり平さんの分身なんです。



なるほどね(笑)。
そして、まぁ、
やっぱり語らずにはいられないのが、
西田敏行さん。


(C)2011 フジテレビ 東宝

糸井さんって、西田さんと同い年なんですよね。
同じですけど、元気度は西田さんが上です。
一同 (笑)
元気だよね。
すごいですよ。
なんでしょう、あれは。
「表現したい」っていう、マグマみたいなものが。
西田さんは、とくにアドリブが‥‥
アドリブ、禁じてるんですよね?
いや、今回は。
あ、禁止じゃなかった。
一応、解禁したんです。
前回ストイックにやっていただいたんで、
「今度は好きにやってください」と。
でも、ぼくは脚本家ですからね、
ちょっと悔しいんですよ、
台本にないセリフを言われるのは。
はい(笑)。
だから、もう台本の段階で、
西田さんが言いそうなアドリブを
先にぜんぶ書いちゃおうと思って。
一同 (笑)
書いたんですけど‥‥
それでも西田さんはそれを上回るアドリブ力で、
いろんなことをおっしゃって。
いいね(笑)。
お客さんって、わかるんですね、
アドリブだっていうことが。
ぜったい笑うんですよ、アドリブのところで。
ぼくは、それが悔しい。
一同 (笑)
西田さんの幽霊のメイクは、
たぶん状況によってちょっとずつ変えてますよね?
西田さんのメイクは、『E.T.』方式なんです。
『E.T.』方式。
E.T.って、最初すごく怖いじゃないですか。
でも観ているうちに、
どんどんかわいく見えてくる。
あれって、観る人の思いが入り込んでいくから、
かわいく見えてくるんだろうと思ってたら、
スピルバーグはE.T.を何体も作ってるんですよ。
怖いのからかわいいのまで。
それをシーンごとにちょっとずつ変えてる
ということを知って、
「よし、これは『E.T.』方式で行こう」と。
西田さんのメイクをいろいろ変えたんです。



はあー、そういう方式が‥‥。
西田さん、
最初はそうとう不気味だったもんね。
歌舞伎なみでしたね。
そうそう。
落ち武者がそんなにお化粧をするのかと。
一同 (笑)
(つづきます!)

2011-11-28 MON