Lesson811 想いに忠実な選択をする
「自分の想いに忠実な選択をしたとき、
人は後悔しない」
ということを、
自分の人生からも、
文章表現を通して数多くの人々の人生からも
日々、教えられている。
就活においても、
「想いに忠実な選択」が一番だと私は思う。
しかし、現実には、
想いのありかがわからなかったり、
いや、それ以前に、
「自分の想いを見ようとしない人」
というのも、
けっこういることを知った。
大学を出るとき、私もその一人だった。
就活する段になって、
人によっては一生の仕事が決まるかもしれない
というのに、なお、
「自分の想いを見ようとしないのは、なぜ?」
理由は複雑にたくさんある。
まず、面倒だから。
立ち止まって「考える」というのは、
どんなテーマであれ、面倒なものだ。
「自分の将来」となるとなおさらで、
ついつい先のばしにしたい気持ちは、
私にもあるのでよくわかる。
次についつい偏差値で見てしまう癖。
大学を偏差値で序列化するように、
就職先も序列化してしまって、
「自分の大学だったら
就職先はこれ以上のランクでないと恥ずかしい」とか、
「自分みたいな落ちこぼれは、
こんな一流企業とてもムリ」とか、
偏差値で輪切りにしたなかの自分相応、
みたいなところから、けっこう、
選択肢は集められるものだ。
集めた選択肢を取捨選択し、
自分の位置がどうか、
序列がどうか、
親や友人に就職先を言ったときどうみられるか、
「人より少しでも優位に」
と選択していけば、
想いを見なくてもことは進んでいく。
そして、私は
これが一番大きい理由と思っているのだが、
「なんとなく恐い。」
人は本当に好きなもの、やりたいことには
自然と向かう生き物だと思われがちだ。
でも表現教育を通し、
数多くの人の生き方に触れてきて
やっとわかったのだが、
人は、本当に好きなものほど過剰反応してしまい、
うまく向かえない、という現実がある。
避け、逃げ、すり替えて嫌い、憎み、
無関心を装ったり、存在を消し去ったりする。
ここが人間のやっかいで愛おしいところだ。
自分の好きなこと、
たとえば、音楽なり、スポーツなり、
将来なりたいものなり、
それぞれの想いが向かう物事に、
好きだからこそ逃げて、小さなことにもびくついて
途中でやめてしまって後悔している人や、
いや、それ以前に、
もしそこに才能がなかったらどうしよう、
それで永久に失ってしまったらどうしよう、と恐くて、
好きなものをいっこうに始められない人もいる。
好きなものをこき下ろして
嫌いなフリをして生きてきた人や、
存在を消し去って無きものとしてきた人までいる。
だから、そもそも
「自分のやりたいことを見るのが恐い。」
という人がいても自然だ。
そこを見るのは人間、根源的に恐い。
「何もなかったらなかったで
自分がカラッポのようで恐い」
「かといって、いまさら、
好きなこととか出てきたら、
それはそれで傷つきそうで恐い」
という無意識が働き、
自分の想いを見るのを避けて、
まるでドーナツのように、
その周辺の序列や競争にあくせくする。
その状態は、まるで、
好きな人がいるのに、気づかず、
婚活するようなものだ。
進めるほどに、想いと離れ、
ぽっかり穴が開いたような虚しさがつのる。
想いに気づいて、
相手に言って、
たとえ結果がだめだったとしても、
そこから立ち直ったあとの婚活なら、
ずっと身がはいるはずだ。
同様のことが、就活にも言える。
「ほんとうにやりたいことがない」のなら、
カラっと明るく、社会に出て見つけていけばいいだけだ。
私もいまの仕事は大学の時、よぎりもせず、
社会に出てから見つけたクチで
それがよかった、と思っている。
虚しいのは、
「想い」があるのに気づかないまま、
あとからふりかえったら、
「自分のなかに明確なやりたいことがあった」
「大勢で協力して1つのことを成し遂げたい、
というような、働き方への想いが自分にはあった」
など、なにか「想い」があるのに見ず、
全然違う方向で就活をしてた、というケースだ。
その状態で、優秀でも全然内定が出ず、
何十社と落ち続けたり、
面接マシーンになると割り切って、
第一志望の会社に入れたけれど、
辞めたりする人も、たくさん見てきた。
そこで、自分の想いをとらえ直し、
就活の選択を見直したり、再就職に向かったときの、
本人の馬力というか、輝きがまるで違う。
顔が輝く。
言葉も、想いがのって生き生きしてくる。
私の授業で、
「いままで気づかなかったけど、
やりたいことが自分のなかにあった!」
と気づく人も多くいる。
高校2年生なら、
担任の先生も、進路指導の先生も大喜び!
その夢をかなえてあげるために、
文理選択でも、志望大学選びでも、
なんでもサポートするぞと腕が鳴る。
でも、大学3年生になると、
なかには、ちょっと切ない人も出てくる。
「自分は看護師になりたいのだと
やっと、はっきり気づくことができた。
でも、いま全く違う大学・学部にいる」
という美大生もいた。
大学4年生の中には、
「もっと早くに授業を受けたかった。
いまの内定先も申し分ないけど、
もっと他にやりたいことが見つかってしまった」
という人もいた。
でも、そういう人でさえも、
その切なさも含めて
やっぱり生き生きして見える。
自分の意志と、自分の言葉で
葛藤している。
そこから想いをかなえるにしても、
想いを知ったうえで
自分の意志であきらめるにしても、
想いに沿った選択をした先で
たとえ失敗したとしても、
やっぱり後悔がない。
その過程で、
自分の想いを言葉や行動で表現できた、
そのこと自体に歓びがあるからだろう。
なにがしかの想いがあるのに見ないまま
そことズレた虚しい戦いをするよりずっと、
苦しみも、喜びも、言葉も、
本人のものとして輝いている。
「想いに気づくと人は活気をおびる。」
自分の想いを知るのは、
なんとなく恐い。
それは私もよくわかる。
でもそれ以上に
「たいへん自由で愉快なことなのだ!」
と私は、伝えたい。
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