Lesson868
読者の声―やりたいことが見えないときに
「やりたいこと」というきらめく言葉に
人はとらわれがちだけど、
できることを増やさないと、
やりたいことも皮相なまま育っていかない、
面白くならない。
できるようになると、
面白くなってどんどんやりたいことも見えてくる。
できることを増やすには、
やるべきことをやる地道な積み重ねが大事。
という先週のコラムに、
読者からこんな体験談が届いた!
<進路に行きづまったときに>
「やりたいことを書き出してごらん。」
と、先生に言われ、
アイドルとか歌手とか医者とか登山家とか
思いつくままにたくさん書いて、
その中で、
「いくらなんでも今からじゃ無理だと思うものを消して」
と言われ、
残ったいくつかの職種を見て、
「すぐに取りかかれそうなものを選びなさい、
すぐに学び始められるものを選びなさい」
と言われ、
さらに先生は、
「その足で専門学校に行きなさい。」
と言いました。
一年半、
コツコツと勉強、模試、勉強、模試を重ね、
地方公務員になった。
それは、一番なりたかった職業だった。
これは、大学入学まで誠に順調に進み、
卒業を前に、いきなり宙ぶらりんになり、
留年、就職浪人2年を経た長男(私の息子)の話です。
もともと大きな夢を抱くタイプじゃないのに、
「君には大きな未来があるんだよ、
自分のやりたいことをやりなさい、
やりたいことはなに?
やりたいことはなに?
やりたいことはなに?」
と、こっそりと過度な期待を押し付けてしまった両親は、
私たちのことです。
前述の先生は、
遠い親戚である若いおじさんです。
一番の近道は今すぐコツコツ始めることだ
ということを伝えるために、
やりたいことを書き出せと言ってくれたのだと思います。
広い選択肢を持つことは悪いことじゃないけど、
広い草原に放り出しておいて、
「早く進め、高く昇れ」
とハッパを掛け続けては、
足元の花にも目が行かず、
足元から続く道にも気がつかない。
足元の雑草をこまめに抜き、
道を履き、
自分の靴を磨いていくことで、
歩く道が見えてくるのでしょうね。
ズーニーさんの文章を読んで、
四年前の長男を思い出しました。
なんだか、これからの私のことにも
かぶるような気がして、自戒を込めつつ。
(SNOO)
「やりたいこと」という言葉の罠に、
すっぽりとはまり込んで、
抜け出せない、前に進めない、という人
ほんとうに多い。
そんなときに、書きだしてみる、
というのはいい方法だ。
書き出して、
もっとも心がときめく、やりたいことが1つ
見つかるのが理想だけれど、
みんながみんなに、
きらめくようなやりたいことがあるわけでは、
決してない。
ある人もいるし、見つからない人もいる。
それでいいのだ。
見つからないときに、
いまできること、いまやるべきことをやっていくと、
チカラや技や自信がコツコツ増えていって、
いまより少し視野がひらけてくる。
その広がって、見晴らしのいい視野からまた、
やりたいことを考えていってもいいなと私は思う。
読者の息子さんも、1年半かけて、
結果的に「やりたいことだった」と気づいたのだから。
読者の声をあと2通紹介してきょうは終わろう。
<できること、まだまだあった!>
「やりたいこと」を探している時は
自分のことばかりを考えている。
私は、やりたいことが見つからない
私は、こんな仕事がしたいんじゃない…
「できること」を増やしている時は
自分以外のいろんなことを考えている。
料理なら、食材やお店、
仕事なら、扱う商材や顧客・同僚…
「やりたいこと」をいくら探しても
えてして状況が良くならず
「できること」を増やしていくと
道が開けるのは
そんな視点の違いも原因なのかなと思いました。
私は営業の仕事をしているのですが、
よく「お客さんを見ていない」と言われます。
もっとできる営業になりたい、自分を変えたいと
ビジネス本を手に取ったり自助努力はしました。
でもそれこそが、
「自分のことしか考えていない」。
今の自分のままでも、外に目を向ければ
できることはまだまだあって
そのほとんどに手をつけていない気がします。
明日できること、書き出してみます。
実行してみます。楽しみです。
(はる)
<積み重ねたものに自信を持って>
20代から30代にかけては、
与えられた仕事にがむしゃらに
取り組んでいました。
流れで興味のない仕事に就いたのですが、
そこにやりがいを見つけることが、
当時の私にはできていました。
それはまさしく、
Lesson 867「やりたいことが見えないときに」に
書かれている、料理ができるようになった例と同じです。
ところが、40代になるころから、
ずっとこのままの状態でいいわけがないと思い始め、
「やりたいこと探し」を始めてしまい、
もう何年も模索中です。
自分にできることは、
この先何の役にも立たないものばかりだ、
なぜ、若いうちに、
もっと社会に役立つことに転用できるスキルを
身につけておかなかったのだろう、
などと思うこともしばしばです。
でも、自分ができること、
スキルや資格といった具体的なものだけではなく、
がむしゃらに仕事をしてきたからこその
自分の知恵があり、あり方があり、
それによって「ありがたい」「助かった」などと
言われることも実際にある。
そうした積み重ねてきたものに自信をもって、
もう一度やるべきことをやってみようと思いました。
(もりこ)
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