Lesson943
読者の声― 101の決心
・2つの世界を横断的に生きる
2019-10-30
「実力100の人と60の人、
戦っても無理と思われがち。
でも、表現において、
実力100の手抜き70にどうしても感動できない。
自己ベスト。
実力60が61に迫る勢いで、
殻を破って、その先に行こうとするとき、
表現が咲く。
見た人、心がふるえる。」
という先週のコラムをはじめ、
「おとなの小論文教室。」を読んだ人は、
どう感じているのでしょう?
今週は読者の声。
まず、「101の決心」
に届いた2通から紹介します!
<自分の殻を破るとは>
ジャズピアノ練習中のakkoです。
Lesson942の「101の決心」は考えさせられました。
私は「実力60の人」のほうです。
「どうすればうまくなりますか?」
と聞けば、
即興でアドリブをするジャズで、
練習のためいろんなところに「セッション」
(その場にいる人たちと、その場で曲を決めて演奏する)
に行っている私に、
誰しも必ずこう言います。
「上手い人と一緒に演奏しなさい。」
これが、きついのです。
自分の中にいいわけばかり浮かんできます。
しかし確実に、
文句なくうまいのにつまらない演奏、
というのは存在しています。
逆に、自分も無意識のうちにクリーンヒットのような
演奏をすることがあるようです。
そういうときは、
ほとんど自分が何を弾いたか記憶にない。
記憶にあるのは、
自分を信頼していたということ。
そしてそのときにやりたいことを演奏した、
という晴れ晴れとした気持ち。
「練習したアレをここにきたら弾こう」
と思って弾くのと、
「その時弾きたかったから弾く」
のでは伝わるものが違うようなのです。
そう考えると、
「どんどん殻を破る」のは
「どんどんエゴを捨てていく」
ということなのかも。
エゴをどんどん捨てて行って、
100になったとき、
101になるためには、
簡単に捨てられるようなエゴはもう残っておらず、
だからこそ苦しみ、
だからこそそこに見たことのないような世界が広がる
のかもしれない、と思うのです。
(akko)
<自分は60だと言える自信>
課題を見つける姿勢は、
自身の成長に疑いがなく、
常に上を目指そうとする姿勢だ。
たとえ他人にあなたは100点だと言われても、
自身では決してそんな風には捉えず、
自己評価は常に60点。そんな姿勢は、
決して卑下していることではなく、
自信を持っている証だと思う。
競争ではなく、切磋琢磨する意識を持つこと。
その中で自己ベスト更新をいつも目標としたい。
自分の殻に閉じこもっていては自己ベストは出せない。
まわりからあらゆることを吸収し、
常に心に余白を持っていたいと思う。
(ゆう)
ズーニーです。
「100に来るまでに散々捨て去って、
101に進むには、もう簡単に捨てられるような
エゴなど残ってない」
という読者の言葉にグッときました。
表現のトップランナーの新たな孤独に触れた想いです。
見栄やプライドを捨て、鎧(よろい)を脱ぎ‥‥と、
まだまだ自分に、脱いだり捨てたりできるものが
あるうちは、
捨てて、どんどん伸びて行ける時期は、
苦しいようで、いい時期なのかもしれない。
さて次は、先々週の、
「2つの世界を横断的に生きる」
ことについて。
1つの世界だけで学び生きるとすると、
「情報を仕入れ→気づきを得て→使いこないして血肉化」
するまでに時間がかかるけれども、
いくつかの世界を横断的に学びながら生きることで、
1つの世界で得た気づきを、
もう1つの世界で応用して日常的に使いこなすなど、
学びのサイクルが高速に回転していく、
という考えに共感が集まりました。
うち2通を紹介して、今日はおわろう。
<その世界でプロになると>
2つの世界を、
横断的に学びながら生きることで、
「気づきを血肉化する機会を多くもてる」
というのは
なるほどと思いました。
1つのことを専念してやっていると
いつの間にかプロとしての責任が生じたり、
まわりから責任あるプロと見られることになり、
失敗しにくくなる。
しかし、新しい分野は、
見ること聞くこと新しくて、
自分も初心者に戻って、質問したり試したり、
心おきなく失敗することができる。
失敗してこそできる「気づき」も、
そこここに散らばっている。
それは元の分野にも間違いなく応用できる
感触を持っている。
(やまめ)
<ゆきづまった時、助けはどこからくるか>
「一つのことに専念してやるべきだ」
という考えが息苦しくなるのは、
「結果を出せていないのに、
他のことに手を出してどうするのか」
という後ろめたさがあるときです。
思うように結果が出ていない時ほど、
「まだ頑張りが足りていない」と、
自分を急き立ててしまい、
段々余裕がなくなってしまいます。
そうなると目先の結果しか見えず、
視野が狭くなります。
そうなっている時に自分を助けてくれるのは、
「予想もしなかったところからの気づき」
です。
全く違う分野で、今までやってきたことが、
意外に役に立ったりすると、
経験に新たな別の意味が出てきて、
もう一度元の課題に戻った時に、
より違った角度で向かい合える。
そうして得られた結果は、
初めに求めていたものとは違うかもしれませんが、
それは目先の結果から自由になることでもある。
職場や家庭、友人関係など、
様々な「場」を持ってこそ、
それらすべてをつなぐ「自分」がいて、
どんな場でも、どんな課題に向かい合っていても、
「自分」なんだ、
と実感できるように思います。
(たまふろ)