賢作 |
るかさんとこは、電車で2時間一緒だったら、
どんな会話が広がりそう? |
るか |
うちはね、
すぐ、遊びに来い、遊びに来いって言うのね。
それは、自分が何をしてるかとか、
そういうのを見て欲しいんだと
思うんですよ。きっとね。
だから、今何やってるの?っていう話とか、
最近こういうのが面白いんだよとか
そういう話を、延々とフンフンっていって
聞くんだろうなーって思うんですけど。
ただ、機会があったら
1回これは訊いてみようかな?っていうのが、
妹の彼には、会ったりするし、仲良くするのに、
わたしの彼に関しては、
今まで1回もいい顔をしたことがない。
それはなんでなのか、聞きたい! |
さとみ |
それは、るかの趣味が悪いとか
そういうことじゃなくて(笑)? |
るか |
それもあるのかも知れないけど(笑)。
わたしは中学生ぐらいのときから、
「最近みんな29とか30になってから
結婚するんだから、
おまえもそれくらいでいいんだよ」
って言われてたの。
で、ま、その頃でいいのか、
って思ってたから、今も独身なんですけど。
その年齢になった今、何て言うのかな?
っていうのを訊いてみたいな(笑)。 |
賢作 |
お父さん、伏線を張っちゃったんだねー。 |
るか |
そうですね。
毎年、毎年お誕生日には、
「おめでとう」っていって、
今でも必ず電話かけてくるんですよ。
でも、だんだん「おめでとう」の後の
コメントが変わってきた。 |
英 |
どんな風に? |
るか |
この間なんて、
「なかなかいい歳になってきたよな」
って言うんだよ。
「大丈夫か? おまえは」みたいなことを
チラッと言ってたんだけど、
それはどういう意味なの? とは聞かなかった。
なかなかつっこんでは聞けない(笑)。 |
さとみ |
あーわかるかも。
あるね、聞けない感じって。 |
るか |
未だに、「まだいいんだよ」って
言いそうな気がする。
で、そう言われるとまた、
あ、まだいいって思ってるんだ
って思わなくちゃいけない、
っていうのがあるから聞けないのかも。
「そろそろ結婚したほうがいいぞ」って、
すんなり言うとはちょっと思えない感じが
あるんだよねー。 |
さとみ |
そうそう。
お父さんはこう思ってるだろう
っていうのが、こっちもわかるんだよね。 |
賢作 |
そうだな‥‥。 |
あんだ |
辛いんだろうな、とかね。
いっそ、結婚してから言いたいですね。 |
るか |
ほんとだよ!
結婚してから、「しました」って言いたい。
する前に、色々言いたくないんだよね。 |
賢作 |
それが自然なんじゃない? |
さとみ |
え? そうですか?
ちゃんと言おうよ!
|
あんだ |
さとみさんは電車でお父さんと
どんな話をしそうですか? |
さとみ |
わたしはこの5、6年ぜんぜん会ってないから、
とりあえず、何してた? って話でしょうね(笑)。
そういう話から始まって、
自分は今こういうのをしてるよ、
っていう自己紹介? |
ほぼ日 |
お父さん、何て言うかな? |
さとみ |
なんだろう?
たぶん泣いたりすると思いますね。
すごくアツイ男なんですよ、常に。
わたしが東京に転職をするときに、
すごく反対されてて。
将来どうなるかわからないのに、やめなさい!
って、お父さんもお母さんも猛反対。
でも、どうしても転職したい
っていう気持ちが強かったから、
手紙で、なぜ転職したいのかって言う理由を、
10枚ぐらい便箋に書いて(笑)。
5時間くらいかかったような・・・。 |
るか |
長い! |
さとみ |
親から引き継いでるのかもしれないけど、
手紙がいちばん自分の気持ちを伝えやすい。
お父さんとは、その時も、
離れて住んでたんだけど、手紙を出したら、
次の日にワーッて帰ってきて。
お正月とお盆しか
会ったことなかったんですけど、
急に帰ってきて、バーッ! って走ってきて
「さとみを抱きしめに帰ってきたよ!」って。
なんか抱きしめられて。
「こんな手紙を書けるようになったんやな!」
とか言って泣いてた(笑)。 |
賢作 |
泣ける・・・。 |
さとみ |
車の免許を私がとることになったときも、
カセットテープを
渡されたんですよ。
「さとみが車に乗ることを許可したということは、
さとみが命を落としてもいいと、
認めたことになる。
だから、そうならないように、
これを作ったから聞いておきなさい」って。 |
ほぼ日 |
? BGMか何かですか? |
さとみ |
お父さんが、自分で車を運転しながら
自分で吹き込んだ「安全運転のルール」でした。 |
みんな |
えええっ? |
さとみ |
「えー、今タクシーの後ろを走っていますが、
あっ、タクシーが急に止まりましたね。
タクシーは、お客さんを乗車させるために
こうやって急に止まるから危ないんです。
だからタクシーの後ろは走ってはいけません」
「あ! 今、犬が飛び出してきました。
もし動物をひいてしまったりしたときは、
ドキドキしたまま運転すると危ないから、
ゆっくりと左に車を寄せて、落ちつきましょう」
とか、言ってるんです。 |
みんな |
わー。なんとまあ・・・。 |
さとみ |
そのときは、もうめんどくさい、
と思って途中で聞くのをやめてしまったんですけど
今は、人にいいたい話になってますね。
そんな激しい人ですから、
今5、6年ぶりに会ったりしたら、
もう電車の中では
人が振り返らずにはいられないような
大変な会話が繰り広げられるんじゃないかなあと
思います(笑)。 |
賢作 |
・・・いやあ、今年はいっぱい泣こう、俺も。
泣くことと、娘の気持ちをゲットすること。
それ、ちょっと、
あんまり意識しちゃダメだろうな。
ま、泣くことはいけそうだな。うん。 |
ほぼ日 |
お母さんは、普段から接してて
「わかりやすさ」があるんだけど、
お父さんて、わかりにくい存在だと
言われてますよね。
でも、みなさんのお話を聞いて、
わかりにくくなんかないなあって思いました。
むしろ、お父さんのほうが、おもしろそう。
それぞれの家庭にもよると思いますが、
お母さんよりもお父さんとの関係のほうが、
より人間対人間になるのかもしれませんね。 |
英 |
大人になってくると、
離れて見られるようになるし。
|
賢作 |
それは明らかだね。 |
るか |
自分は自分で好きなことしてて、
お父さんはお父さんで好きなことをしてて、
あ、それもいいんじゃない? って思えたら、
それでいいかなあって。
わかりにくいっていう風に、思ったことは
あんまりないな。 |
賢作 |
うん。ぼくもそうだな。 |
ほぼ日 |
わたしは自分が母親なんですけど、
父親をやってみたい(笑)。
なんだか、父親の方が面白いと思いました。 |
さとみ |
難しそうですよー、父親!
|
ほぼ日 |
でも、うらやましくなりましたね。 |
るか |
お母さんのほうが、小うるさい感じ。 |
英 |
そうそうそう。 |
さとみ |
子供と接する理由がいっぱいあるもんね、
お母さんって。 |
賢作 |
あー、それ、あるかな。 |
さとみ |
お父さんはそういうキッカケがない上に、
カッコよくしていないといけないし。
威厳をもって、みたいな。 |
るか |
あ、そういうのはすごい思ってる気がする。 |
ほぼ日 |
「カッコよくあれ」、って? |
さとみ |
うん。
娘にそんなカッコ悪いところ見せられない
って思ってるんじゃないかなあ。 |
ほぼ日 |
母親はもう、どんなところでも、
ウワーッて泣いたりするのも見せますよね。
お父さんって、しないんだ、そういうことを。 |
るか |
結婚式だけはやめて欲しいって言ってたもん。
泣くからって。 |
英 |
娘にとっての
いちばんの男でありたいんですかね。 |
るか |
それ、あるかもしれないです。 |
賢作 |
でも、人前で泣いちゃってもいいんじゃないの? |
るか |
うん、でもやっぱり、
男をがんばっているなあっていうのは、
今見てても、すごく思う。
衰えてはいないよ、
っていうところを見せますね。 |
ほぼ日 |
お父さんのことを
こんなにたくさんみなさんと話せて、
お父さんのことを
前より好きになったかも。 |
英 |
うんうん。 |
さとみ |
そう言えば、そうかも。
それに「お父さん」って、
思ったより大変ですね。 |
賢作 |
ぼくにとって今回の数々のお話は、
娘との接し方の知恵として、
自分に、じゅうぶん取り入れました。
|
あんだ |
笑いあり、涙ありでしたね。 |
るか |
今お父さんに会っちゃったらグッときそう! |
賢作 |
そうだ、お父さんのミュージカルをつくろう!
横尾さんに衣裳をつくってもらって、
糸井さんに作詞してもらって、
オレが曲を書いて、
うちのおやじが歌うって、どう(笑)?
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好評をいただきました座談会も、
これで終わりです。
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