おさるアイコン ほぼ日の怪談2006

怪・その17
「置かれた手」

5年前、当時付き合ってた彼の影響で
マウンテンバイクを日常的に使用してた頃です。

いつもの様に、バイクに乗って家路についてました。
時刻は夜、8時位‥‥。

街灯の無い川の土手なので、
変質者に遭ったりしないよう、
スピード上げて力一杯こいでいました。

バイクには時速を計る為にメーター着けていたので、
確認してみると、時速38キロでした。

動物はおろか、歩いてる人間も一切存在しなかった。
これなら、このスピードを落とさなければ、
あと少しで着く。
人も居ないから、スピードは落とさなくても平気‥‥。

考えた矢先、
前傾姿勢でバイクに乗る私の首に、
ゆっくりと手が、
上から降りて来て、
首に体重かけてきました。

くつろぐ様に‥‥ゆったりと‥‥。
手は、私の髪をまとめたゴムに遮られるでも無く、
しっかりと肌に手の重さがあり、
落ち着いた様子を、ありありと感じました。

スピードの出てるものに触ると、
普通、叩く様にしか、触れられ無いですよね?

あれは、手、置いたんです。私の首に‥‥。
さらにスピードを上げて、急いで帰りました。

(A)


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2006-08-16-WED