怪・その11
「ガードレール」
去年のちょうど今頃の話しです。
そのころ僕は夜中に散歩するのが日課になっていて、
その日も0時位から歩きはじめました。
田舎町でちょっと歩けばすぐに田んぼや畑が広がり、
外灯もないので、
空にはたくさんの星がくっきりと見えて、
それらを楽しみながら歩いていました。
適当にグルグルと2時間ぐらい歩いたところで
疲れてきたので帰ろうと、
川沿いの道を空を眺めながら歩ていました。
川沿いを200メートルくらい歩いたところで突然、
「ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン」
僕の真横のガードレールを
金属バットで思いっきり叩き付けるような音が
鳴りだしたのです。
横を見ることもできず、
足はガクガク震えているため
走ることもできません。
必死でその場から離れようと歩きますが
その音はずっとついて来るのです。
ガードレールが途切れたところで
音はようやく止み、僕は急いで家に帰りました。
翌日両親や友人に話したのですが、
「誰かのいたずらじゃないの?」と
聞く耳を持ってくれませんでした。
しかしガードレールと川の間には
大人の背丈以上の雑草が生い茂っており、
人がその中に入って
バットのような物を振り回しながら、
追いかけてくることはできません。
またその逆側は田んぼが広がっているため、
人がいないということは容易に確認できたのです。
数日後、昼間に、
そのガードレールを確認しに行ったところ
傷ひとつない状態でした。
未だにその川沿いを歩く気にはなれませんし、
全く違う場所でもガードレールがある場所では
また突然なりだすんじゃないか、
と思ってしまいます。
(コーティー)
2007-08-12-SUN