怪・その22
くる、くる、くる‥‥
20数年前に
高校生時代の同級生本人から聞いた話です。
彼の家庭では彼の祖母と彼だけ、
霊感が強かったそうです。
彼の家は大きな湖の近くの水田地帯の集落にあり、
近くに幹線道路が通り、
集落から幹線道路に、村道が1本延びていました。
周辺では唯一の信号機が、
その村道と幹線道路がつくる
T字路の部分にあったとのこと。
ある日の夜中、
そのT字路のほうでドーンという大きな音がして、
友人は目が覚めたそうです。
なんだろうと思い、
2階にある自分の部屋の窓から
T字路の方を見てみると、
車が衝突しているのが見えます。
見ているうちに、
なんだか嫌な感じがしてきたので、
布団に戻ろうとしたのですが、
体が動かない。
すると、
T字路のほうから
何かがすごいスピードで
彼に向かって飛んでくるのを、
見えないけれども感じたそうです。
くる、くる、くる‥‥‥
でも、体は動きません‥‥‥
くる、くる、くる、
きたっ
その瞬間、体がズンと重く冷たくなり、
すごく苦しくなったそうです。
苦しい、死んでしまいそうなくらい苦しい、
もう死んでしまう‥‥‥
と思うのですが、何もできなかったそうです。
そこへ、霊感の強い祖母があわてて駆けつけ、
名前を大声で呼びながら
彼を揺さぶっているうちに、
入っていたものが出て行ったそうです。
祖母が言うには
祖母も交差点で大きな音がした瞬間から
その存在を感じ、
それがこちらの方へやってきたのがわかり、
孫に何か‥‥‥と思い
階下から急いでかけつけたとのこと。
揺さぶっている間、彼の体は冷たく、
両眼ともに開いていたそうです。
翌日、その事故で
男性一人が亡くなったことがわかったそうです。
(ともぞー)
2009-08-20-THU