フランコさんのイタリア通信。
アズーリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

イタリアサッカーの大スキャンダル続報。


先週からお伝えしている
イタリアサッカーの歴史上最大のスキャンダルですが、
状況はいよいよ混乱を増しています。

イタリアサッカー界の首脳部は、
司法府の調査に体当たりされて崩壊状態です。
こんなことは前例がありません。

フェデレーションの会長は辞職して、
その席は空白です。
副会長も同様です。
審判の長も、日曜日ごとに審判員を選出していた
ふたりの人物も、もういません。

モッジが審判を閉じ込めた?!


10人以上の審判たちが停職に処され、
たぶん誰よりも優秀であるパパレスタ審判は、
前代未聞の事実を告白しました。

昨年のこと、レッジーナ対ユヴェントスの試合後に、
ユヴェントスに対する優遇のペナルティキックを
出さなかったという理由で、
ユヴェントスの代表取締役のアントニオ・ジラウドと
総監督のルチアーノ・モッジがパパレスタ審判を襲い、
更衣室の一室に閉じ込めたというのです。

▲ジラウド(左)とルチアーノ・モッジ

ユヴェントスの、このふたりの重役たちは、
判事らによって「不法監禁」の重罪で起訴されました。

パパレスタ審判はこのことを隠していたのですが、
監禁のあった日から1年以上も経った今、
複数の電話を盗聴録音した警察側から
事が公にされました。
パパレスタは
「私は、もう審判をやめようと思った、
 ユヴェントスは私に高い代価を払わせた」と、
黙していたことを弁解しました。

もちろんスポーツ裁判も持たれるでしょう。
ユヴェントスは、調査や審議が順調にいけば、
来年は、セリエBでプレイすることになるでしょう。
フィオレンティーナとラツィオも同様の危機にあります。
そしてイタリアの新聞では、
電話盗聴が暴いたこのスキャンダルの記事を、
連日のように報道しています。

2004~2005年のシーズン中に、
スキャンダルの主役であるルチアーノ・モッジは、
平均にして日に416本の電話をかけています。
フェデレーション会長に、審判たちに、
現アズーリ監督であり元ユヴェントス監督の
マルチェッロ・リッピに、命令を下す電話です。
そして、これから表面化する人びとも、
まだたくさんいるでしょう。
これは、まったく背筋の凍るような話です。

選手宅に家宅捜索が!


すでに当時の内務大臣ジュゼッペ・ピザーヌが
登場しています。
彼はルチアーノ・モッジに電話をかけ、
サルデーニャの彼の街のチーム「トーレス」を
「好ましい審判たち」に審判させるように頼みました。

そして次の日曜日、
トーレスは2年ぶりの勝利を納めました。
しかも、アウェイの試合では初めて。

有名な選手たちも巻き込まれていると、
先週ここで名前をあげたブッフォンですが、
彼は合計200万ユーロほどを
八百長試合に賭けていたようです。
でも司法官たちの前では、ドッグ・レースと、
オーストラリアのカンピオナートに賭けただけだと、
誓いました。

彼は今、資格剥奪の危機にあります。

やはり先週ここで名前をあげたカンナヴァーロと、
もうひとりのユヴェントスの選手、
イブライモヴィッチですが、
それぞれの家に警察が家宅捜索に入り、
書類などを押収しました。
これは彼らの契約時の脱税容疑です。
つまりユヴェントスが彼らに
裏金を支払った疑いがあるのです。

▲イブライモヴィッチ

まさに危機的状況だというのに、
カンナヴァーロは複数の新聞紙面を占める
別のスキャンダルを起こしています。
彼をイタリア人の中で最もセクシーであると言っている
ゲイの世界で、自分はアイコンであると、
あるインタビューで彼は明言しているのです。
もっとも彼は、
自分自身は100%異性愛者だと
付け加えてもいますが。

▲カンナヴァーロ

イタリアサッカーは、
あらゆる方面を巻き込んだ全面的な嵐の中にあります。
イタリア代表のアズーリは今度のドイツW杯に
参加しないようにと、訴える人までいます。

いったい何を信じれば良いのでしょうか。
もはや信用性はどこにもありません。
イタリアのチームの中で最も輝かしいユヴェントスが
崩壊の危機にあるのですから。
再生するには根本的な大掃除が必要でしょう。
でも、誰がその勇気を持っているでしょうか?

訳者のひとこと
「誰がその勇気をもっているか?」
このひとことは恐いです。
正義感を持って根本的な大掃除に踏み込めば、
その先には「暗殺」の二文字が
待っているかも知れないのですから。

爆弾で車ごと吹っ飛ばされたり、
誘拐されて暗殺されたりした政治家や
判事などは、過去の事例をみても
「例外的に運が悪かった」とは言えません。
ゴッドファーザーの映画はフィクションですが、
現実はもっとハードです。
翻訳/イラスト=酒井うらら

2006-05-23-TUE

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