ガンジーさん。 いつ途切れるかわかりませんが 今後ともよろしく。 |
9.よぅ〜し 66歳まで生きていてやるぞ! あらためてお願いした連載の件に、 翌日、ガンジーさんは『the 親戚新聞』紙上で 答えてくれた。 さらに、主治医の「予言」も虚しく、 「予定日」を一月も過ぎて、 まだ皮肉を言ったり必殺パンチになるような 「辞世の句」を考えたりする余裕を持っている。 9月17日が、ガンジーさんの次の誕生日。 まず、この日を迎えたら66歳というわけで、 ザマーミロである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ◆the親戚新聞8/21号 「病状その後」 諸君は もっとも近い親族なので 俺個人の事で退屈かもしれないが チョットだけ つきあってください。 今朝 船中で3週間ぶりの診察。 シリーズ.パート2が始まるはず だったので またあの味覚のない生活を 6週間 覚悟しなければならないな と 脅えと 自身への叱咤激励の気持ちを 抱えながら ヤブの前に 席を進めた。 ”先生 お蔭様で まだ生き長らえております” 相変わらず 暗ら〜い 彼は 難しい顔をしたままだ。 そばの看護婦だけが 向きをかえて肩をゆすっていた これは皮肉に受け取られたかな? ヤブの診断では 7月末が 俺の命日のはずだったから。 彼の頭のなかを覗いてみたい 彼は5月17日に こう言った ”あと2ヶ月ぐらい 夏が迎えられるか どうか ” さらに ”3ヶ月.延命できたら 1ヶ月得した と考えてはみては?” まるで牧師か 坊主のような セリフを吐いた。 そして ”わたしの親父も 65歳で死んだ”とも。 この 「も」が気にいらねぇ 俺の誕生日は 目前の9月17日だ カルテに書いてある 先刻承知で俺の寿命のなさを強調するのだ ”よぅ〜し 66歳まで生きていてやるぞ! そして9月18日に病院へ押しかけ 痛烈な皮肉をぶっつけてやるべぇ まだその必殺パンチの文句がうかばない 諸君 教えてくれ それを以って 「辞世の句」 と しょう カッコよく 下品でなく 彼ら インテリ連中に (俺もそうかな?エへっ)効果のあるヤツを。 さて この小憎らしい患者は ヤブの前に腰をおろすと 聞かれるまへに ここ一週間の様子を ポンポンと報告した。 一日の尿の推量.便の回数.体重.食欲.睡眠. だるさ加減.腹水の良否 ついでに 夫婦喧嘩の回数も。 俺が 医者だったら ”コノ野郎 殺してやる!”と思いたくなるだろう と思う。 ヤブはおもむろに口を開いた ”経過はよさそうだから 抗がん剤投与の 第2シリーズは 再来週からにしょう” 俺はたちまち変身.変心 ヤブの手を押し戴かんばかりに 最敬礼をした。 (この軽る〜い性格 なんとかならんかなぁ) てなわけで 今日そして 来週.月曜日の 計 約7時間が儲かったのだ。 イエ〜ィ! 起久も 朋代も 正嗣君も また専業主婦ではあっても 源育 に忙しい美紀も 今日は Blue monday かもしれないが 俺は上機嫌だよ 糸井様へ 先ず以って先日の Mail の文中 ”お節介きわまる...”の部分を お詫びして ”並はずれた お心くばり...”と 訂正させて戴きます 不適切な表現 ご勘弁ください。 そして 昨夜の かなりの 気配りをみるおもいの Mail の件ですが 嬉しいかぎりです。 自分の書いた文章が 貴下のお手によって味付けされ 世界中に紹介されるんなんて なんて なんてこの喜びを言い表したらいいか とりあえず 両手をあげて万歳をしました。 また お忙しい中 あれほどの 長文 それにご自身のお考え そして お父上のことを承り 貴下の素晴らしい personality を垣間みるおもいでした。 かさねて御礼申し上げます。 文中. F中は F中央病院. 源育 は 源一朗 という私の孫です。 ************************ (癌爺・ガンジー) 163cm・B型・80%マジメです ************************ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お会いしたこともない、人生の先輩だけれど、 ほんとにうれしかった。 『the親戚新聞』を愛読しているせいか、 ぼくもなんだか親戚の一員のような気持になってきた。 気休めに「奇跡」を口に出して、 軽く励ますというようなことは やりたくいけれど、 誕生日という目標が、目の前にある。 それを、クリアしてからゆっくり辞世の句でも、 暗い医者にぶつける皮肉のパンチでも考えましょうや。 よーし、「ほぼ日」の掲載原稿をまとめるぞ。 (これが掲載されている段階では、 もうみんなも読んでいるわけだから、ヘンでしょうけれど) 疑い深い読者に、「あの話、うそだったんじゃないの?」 なんて、怪しまれるような長期連載にして、 飽きられるまで続けることを目標にしてやりましょうや! へっへっへ。 (つづく) |
2000-09-01-FRI
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