ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

187.また箱根でのこと。

今日も、箱根でのガンジーさん。
この人、ほんとにアメリカ人みたいに話しかけるね。
「ハーイ」の精神が、血肉化しているんだね。

おもしろいよー、気さくで気楽で、今日も。

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「箱根.パート2」

強羅の駅前ベンチに、「やっこらしょっ!」 
と腰を下ろす。
「よっこらしょっ!」ではない。 
屁理屈を申し上げよう。
前者には少しだけれど、気合が感じられる。 
戦陣での武将が、あのX型の携帯用椅子?に
掛ける時のようにだ。
後者では弱弱しい雰囲気が漂う、
倒れ込むように右肩から崩れ落ちるんだ。

ガンジー、お婆さんではない! 
病気兼年寄りではあるがレッキとした日本男児だ! 
シャキっと背筋を伸ばして腰掛ける。 
テンガロンは斜めだけど。

目の前でタクシーの雲助殿が車の掃除をしてる。 
ガンジー、話しかける。
独身だと言うので、ガンジーが、
「出てけっ!ってカミさんを追い出しちゃったわけ?」
と聞いたら、
「山歩きが好きでチャンスが巡ってこなかった」とのこと。
40代後半に見える彼は、そこそこいい男振り、
なのに何故? と
おもわず彼の下半身に目がいってしまった。 
ん? ふくらみがないぞ!あぶらみもなさそう。
世に云う、「小田原提灯」ではないかな? 
なんて考えてしまったんだ。

坂を登り、DP屋さんのショウ.ウインドウの中に
古い写真が飾ってあるのを、見つけた。 
創業当時のその写真店のもので大正時代の店頭風景。
店の前に女の子が立ってる。
そして写真の下にコメントがあり、 
「この女の子が、店内で応対してます」だと。
笑っちゃったよ。
刑事みたいに店の前をいったりきたりして
中を伺ってみたけれど、
それらしき人物は見えなかった。 
もう80を越えたお婆さんのはずだ。
それでも写真は、女の子なんだね。
男だったらどうなんだろう?
「この者が店内で....」と書くだろうが、
でもそれじゃ面白くないね。

女はお婆さんになってもかわいい。
それでも日本には女の幽霊しかいない。
舌切り雀の童話も悪いのはお婆さんだ。
男尊女卑の国だったからなぁ。 
今のおなごは幸せじゃ。
ちなみに男は、爺っさまになると毎日、
「起きなっ!」 って云われるから、翁なんだそうだ。 
笑ってくれなくてもいいよ。

強羅公園に向かう坂道で、企業の保養所の前を通った。 
窓からこっちを見てるご夫婦あり、
ガンジーがすかさず小さく手を振る。 
ダンナの方はあわてて引っ込んでしまった。 
あはは....。  
奥さんは手を振って応えてくれたよ。
 
こんなところに、女が長生きする秘訣がありそうだ。
女性はかしこい、神主なんか女がいいかも。 
「かしこぃ、かしこぃ、申すぅ〜」

公園内に、「白雲洞」という古い建物がある。
松永安左衛門も一時所有した建物で
抹茶をふるまってくれる、 が有料だ。 
ケチなガンジーは勿論、縁側で休むだけ。
案内の中年女性の愛想がいい。 
「あなたはキレイなだけじゃなくって、
とても聡明に見える、御茶ノ水ですか?津田塾ですか?」 
こっちもお愛想でお返ししといた。
でも500円の抹茶は出て来なかった。
チキショ、これじゃ詐欺だっ! 
女はずるい!

帰りは陽が陰り寒くなった。
途中で下校の中学生と会う。
女子集団で、うち2人が後ろ向きで歩いてきた。 
ガンジーが叫ぶ! 
「後ろにご注意ください!エブリバディ!」
彼女たち笑い転げる。 
ムカシは、「箸が転んでも可笑しい年頃」といったっけ。
「おじさ〜ん、帽子かっこいいよっ!」
 後ろで手を振ってる。 
悪い男にだまされるなよ。
ガンジーの父性がつぶやいてる。

次ぎに茶髪のカップルに会う、ガンジー、
また声をかける。「お幸せにねっ!」 
びっくりして立ち止まり、笑い出す。
そして、「ありがとうございますっ!」って
大きな声でお礼を言われた。  
旅先だから気持ちがウキウキしちゃうんだよ。
法律用語でいえば「お調子者」だね。
うれしいな、通じたんだ、英語が。 
茶髪の素敵な、ほぼ日、西本さんの顔が頭をかすめた。
スタバのコーヒーも飲みたくなった。

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箱根だけで、ガンジーさん、何人の人たちを
ナンパしたんだろうねぇ。
したほうもされたほうも、楽しそうだねぇ。

(つづく)

2001-02-27-TUE

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