ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

199.息子に宛てて。

また、また、この前口上の書きにくい回だった。
話の出だしは、お気楽な犬張子人形なんだけど、
読んでいて、じーんとしちゃってさ。

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「あれっ! これだ!」

これを叩いてるガンジーの側に、
ほぼ日から貰った犬張子が居る。
正確には張子ではない、ぬいぐるみだ。 
今風、というべきか、手ざわりもよくカワイイ。 
ガンジーが戌年ということでもあり
糸井さんに戴いた物だ。

とぼけた表情をしてて眉毛まであるんだ。 
あぶちゃんをしてるよ。
ムカシ、人形町の水天宮で買った犬張子の後ろ足を、
起久が食っちまった事を想いだして可笑しくなる。 
その彼も36歳、働き盛りの年齢に入った。
「はやいもんだ」と言うつもりはない。
いろんな事があった。
大きな病気こそなかったがよく怪我をしたよ。

酔っ払って帰り、クダをまくガンジーに、
タスデ美は彼を起こしてきて、
「お父さんのこの姿をよく見ておきな!」といわれ、
はっと我に返ったことも再三だった。 
ガンジーがムカシ、父親の暴力でおびえる母親を
かばった事がオーバーラップしてきたんだ。 

起久も災難だったなぁ。眠いのに。 
今迄あやまるきっかけもなかった。
おかげさまで、癌になり、PCもある今なので
ここで謝るよ。
”ゴメン、すまなかった”    
PCってこんな時都合がいいねぇ。
他所のお父さんに比べると
ガンジーは、いけしゃぁしゃぁと、こういう事を
(タスデ美に、”愛してるよ!”とかね)抜かす方だけど、
やっぱりテレるよね。
役者じゃないもんな。 
カナコさんに教わっとこうかな? 

でもガンジーはタスデ美に暴力をふるったことはない。
高倉健の映画みたいにお膳をひっくり返したこともない。
たった1回の結婚前を除いて。
この時は、それなりの訳があっての事で
天下に恥じる出来事ではなかった。
でも、ないしょ。 
ま、男の意地ってとこかな?
英語で言えば「jealousy」に近い。

36年が何事もなく無事に過ぎたのではない。 
ひとつ、ひとつの思い出がぎっしりつまった
36個の大きなダンボール箱だ。 
諸君の身辺にもこの先様々な出来事が、起こるだろう。
勿論、悪い事ばかりではない、
いい事だっていっぱいあるだろう。
いい事悪い事のバランスが、
あんばいよく取れてるのが人生だ。 
簡単に言えば「人間万事、塞翁が馬」だね。 
この時の馬は白馬だったそうだ。

そしてここに、ほぼ日からトレード?してきた
犬張子新型がある。 
癌翁の白馬だ。
ほぼ日のみなさま、犬張子は健在です。 
そして毎日、ガンジーのこと見つめてくれてます。
まばたきもしないで。 
飴玉をいっぱい頬張ったように、
ほっぺをふくらましてます。

だもんで親戚新聞がとどこおりなく書けてます。
Thank you so much.

”地球はまわり、歴史が刻まれ、
人々の哀楽を乗せた箱舟は、今日も漂う” ってか。
うん、名言だ! ガンジー、なかなかのもんだべ?


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36歳の息子のことを思いながら、
66歳のガンジーさんが、タイピングして、書いた。
それだけですが、しみじみしちゃって。


(つづく)

2001-03-12-MON

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