ガンジーさん。 いつ途切れるかわかりませんが 今後ともよろしく。 |
341.呼と吸のこと。 ガンジーさんへのメールは、 基本的に『イトイ・ダム』と呼ばれる場に、 いったん蓄えられる。 いまのガンジーさんの様子を推察しながら、 そのダムに溜まったメールを、ご本人に あらためて転送する仕組みになっている。 いちばんの理由は、初期のころが特に その傾向が強かったのだったのだけれど、 たくさんのメールが「病人のメーリングリスト」のように なってしまいそうだったことだったこと。 「病気を軸にして」生活することではなく、 日々の生活の一要素として病気をとらえているところが、 ガンジーさんの人生の方法だと思う。 病気は、ガンジーさんの一部分にしかすぎないのだ。 そういう意味で、できるかぎり 「ガンジーさんを病気あつかいしない」メールを、 ご本人に転送してきたつもりだ。 ところが、この頃は、予想通りというかうれしいことに、 「病気の人の連載だから」というフィルターが外れて、 ひとりの66歳の男性の「意見」というふうに このページが読まれるようになった。 これでいいのだ、と思う。 だから、ひとりの男の意見に、賛成も反対も、 ごく普通の反応がもらえるようになった。 病気であろうがなかろうが、意見と意見のやりとりだ。 ぼくは、ダムのバルブをゆるめて、 ガンジーさんに、読者からのメールを転送するようにした。 同時に、ぼくはぼくなりの異論も、 ここに掲載することにもした。 自分の父親にだったら、そうするだろう、 というような判断からだった。 ガンジーさんのはじまりから、約1年になる。 いつも同情なんかされているガンジーさんじゃ、 元気がなくなっているってことだしね。 憎まれ口を叩いたり、反論されて凹んだり、 そういう普通のオヤジとして、 この連載を続けていただきます。 ___________________________ 「ギブ、しかるのちテイク」 東京の水がめが軒並み黄信号をだしはじめたそうだが、 我がイトイダムは満々と水をたたえ、 なおも陸続と無数の水脈から流れ込んできているようだ。 そこでdarlingボスは ガンジーのようすをみながら制限をゆるめ 最近ではキビシイご意見なんかも届いてる。 いけすで育てられたガンジーが初めて見る外洋の波の高さ。 インターネットという顔の見えない発信は かなり思いきった発言が飛び出すもんだね。 「いまにも死にそうな病人だからといって 何を言ってもイイのか!」などの キツーイお叱りもある。 短気な年寄りは、むむ!っと思ったが、 いやしかし、と考えなおした。 30数万のアクセス数ともなれば いろんな意見が出てくるのは当然。 むしろ無視されることのほうが 悲しいことではないのか、とね。 ムカシ偉そう政治家は、 声なき声に耳をかたむける、なぁんて 忍者みたいなことを言ってたが、 読むだけ読者の数はそうとうなもんだから キーを叩いてくれてる読者には 感謝こそすれ恨んではならない。 おれは黒が好きだ、あたしは水色が好き、 黒好きなんてあんたどうかしてるんじゃないの?なんて つめよってはいけない、黒が好きな人はいいひとなんだ。 クロー(苦労)人なんてね。 水色好きの人はむこうみずだったりして。 あ、そういえばdarlingをdaringとすると、 向こう見ず、大胆という意味だよね。 この1年間のお付き合いだけどそうも感じるなぁ。 Qさんのようにとはいかないまでも 何とか一生食べていけるだけの、 もろもろの資産がありながら あえて火中の栗を拾おうとするとこなんか 向こう見ずといえるぜ。 でもこの熱い栗をつかんじゃったんだdarlingは。 どんな手をしてるんだろう? おちついたら新居へ訪ねて手のひらを見せてもらおう。 きっと削岩機のようなモグラの手だぜ。 きびしいガンジーメールを届けてくれてる そのほかの理由は、 もうそろそろ 外洋のことも知らせておいたほうがいいだろう、 ガンジーもメールあたりなど経験しながら 少しはたくましくなったようだから、という 恩師のおもいやりがふくまれているらしい。 愛のムチがあろうと法外な期待をされようと 動けるはずもないガンジーだけど、 糸井重里著「インターネット的」の本を読んでから いくぶん気持ちがかわりつつある。 つまり多くを発信した者だけが 多くの情報を得られるというあれだ。 呼吸は吸う前に吐く事から始めろ、というあれだ。 あれあれって本に書いてあるからさ。 だから吸呼じゃなくて呼吸なんだね。 にわとりとタマゴみたいに どっちでもいいじゃないかと思ってたけど 順序があったんだ。 ケチな人はいつまでも貧乏なんだね。 与えることをしらないから。 恋愛なんかもそうかもね。 まず惜しみない愛情をそそぐべきだろう、茶碗に一杯に。 あふれだしてもわからない茶碗は取り替えちゃおう。 そんな茶碗はろくな茶碗じゃない。 チャーワンだって食えない茶碗だよ。 ガンジー ___________________________ へっへっへ。一歩間違えば向こう見ずのdarlingです。 「外洋」で泳がなきゃ、つまんないですものね。 遠くまで行きすぎだと思ったら、 こそこそと引き返しましょうや。 ぼくも、ガンジーさんも、 あんまり偉そうな生き方をしてきた人間じゃないから、 そんなにたいした力はナイんです。 (つづく) |
2001-08-04-SAT
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