ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

344.お届けもののこと。

みんなが、ほんとは悩んでいることだと思うんだ。
お中元やお歳暮などの儀礼のこと。
暑中見舞いや、年賀状なんかも、
そういう範疇に入るかもしれない。

ほんとうに贈りたい人と、贈るべき人とがいて、
贈りたい人は、贈らなくてもかまわない相手で、
贈るべき人は、贈らなくてはいけない人。

だとしたら、と、ぼくは考えついたんだ。
ぜんぶ贈らなくても、誰もなんにも困らないんじゃないか。
「贈るべきつきあい」というのも、
ほんの少しはあるのかもしれないけれど、
それはもう、ないことにしよう、と。

で、結局、ぼくは(というかぼくの事務所は)、
中元、歳暮、年賀状という日本の常識を、
いっさいやめにしてしまったのでした。
あれから、もう、何年も経つけれど、
ばく自身はなんにも困っていない。
ひょっとしたら、「贈ったのに贈られない」と、
おもしろくないと思う人もいるかもしれないけれど、
そういう場合は、贈らないようにしてくれたらいい。
(ひどい言い方だけどね)

『痛みをともなう改革』ってやつでしょうかね。
プレゼントの美風を、まったく否定するつもりはないので、
なにか差し上げたい時には、
相手にあわせて贈ることもあるし、
もらって大喜びすることだって、いっぱいある。

なんか、名簿をつくって、夏と冬に発送するっていう、
この仕組みが、ほんとに面倒くさくなっちゃったんだ。

さて、ガンジーさんの「贈り物論」は?


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「どけどけ!おとどけものだぁ」


お中元やお歳暮のやりとりを、やめようと話し合っても
なかなかやめられないのが身近な親戚だね。
そして季節に限らず全国どこででも
おなじものが手にはいるご時世なのでおたがいに悩んじゃう。

そんななかで自家製の漬物なんかを頂くと
うれしいもんだよね。
梅干にしたって天下に一品だからすごい、
その家の雰囲気まで届いちゃう。
この梅干のすっぱさは
亭主が浮気してる最中で泣きの涙で漬け込んだものに
ちがいない、気をつけよう。
包丁が入ってるかもしれねぇぞ!

デパ地下で売ってるものは見た目はいいが
味はさっぱりという詐欺的商品もある。
これを、くわせもの!という。

自家製だからといってうまいとも言えない。
よくお袋の味なんて看板にうたってる店があるけど
母親の料理が下手だったらどうなる?
とてもそういう店には入る気がしないだろう。
手作りの料理なんていっても、
キタネェなぁ、と二の足をふんじゃう。
家庭料理なんてのもおなじだね。
下手な料理でもつくりたてだからなんとかごまかせる。
今はコンビニの愛用者が多いので
即席チン!に馴染んでしまってるから。

日本人が、つまらない物ですが、といって届けるのは
感心出来ない。
つまらないのは持って来たお前さんで
これはおいしそうじゃないか。
そういう時はお口にあいますでしょうか?と言いなさい!
おちょぼぐちの人にはメダカの佃煮、
モニカウインスキーのようにデカくちの人には、
おかしらつきのサメのてんぷらとかね。
これがジョーズな贈り方だぜ。

自分がもらってうれしい物が
相手によろこばれるとはかぎらないが、
たとえば亭主の浮気封じのために精力減退の薬なんかは、
きっとよろこばれるぜ。
相手の身になって考えよう。
受験生のいる家庭には、よく落ちる洗剤もいい。
リストラされたご主人のお宅には、
離婚届けの用紙なんかも気がきいてて
奥方によろこばれるかも。

その家だけのオリジナル食品は味がうんぬんよりも、
珍しさがよろこばれるだろうね。
これからは買った贈答品より
手間ひまかけて作った物がよろこばれるだろう。
買った物は値段もわかっちゃうので困る。
ウチは¥3000クラスか、なんてひがんじゃうしね。

一人暮しの人でも
ピクルスなんかは手軽に出来ると思うけど、どう?
作ってみては。
恋人をビックルスさせよう。
え!お前にこんなセンスがあったのか?
なんて驚いて恋敵をたたきのめすのに
一役かってくれるかもしれないし、
ビールをのむならお前のところ、なんて
コックあつかいさせられることもありうる。
それについてはガンジーは責任を負いかねます。

今年くらい暑中ハガキが功をそうした年もあるまい。
ショッチュウ書くもんじゃないから
これから残暑見舞いなんかもおすすめだね。
年賀状とならんで筆不精な人にはありがたい習慣だ。
でかでかと、残暑お見舞い申し上げます、と書いて
下に1行「またあの店にいきましょう、
イッヒッヒ...」なんて書いてさ。
奥方にあとでデンワして
効果のほどをたしかめれば暑さもぶっ飛ぶ消夏法だよーん。

ガンジー

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中元も歳暮も年賀状もないぼくに、
そのままつきあってくれる人々が、
それまで以上にいるということが、
これからの時代の大きなヒントだと思うんだよね。

ただ、昔、そういう季節ごとに、
「でかい懐中電灯」だとか「乾電池1年分」だとか、
アイディアをしぼりだしていたことも、懐かしいなぁ。

(つづく)

2001-08-08-WED

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