ガンジーさん。
いつ途切れるかわかりませんが
今後ともよろしく。

379.怪異。

ガンジーさんは、
できるかぎり論理的で科学的でありたいと思っている、
しかも、けっこう頑固派なおじさんだから、
オカルト系の話には、距離を置いている。

そう思っていたら、なんと、
自分が体験した怪異譚を、発表してきた。
『死神を見た』んじゃないか、というんだよ。

ま、読んでみてくれ。

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「恐いぞぅ!」


実力の伯仲した強豪同士が戦うことを、
竜虎あいうつ、というけれど。
虎は実在するが龍のほうは想像上の動物だよね。
麒麟(きりん)にしても鳳凰(ほうおう)にしてもそうだ。
おなじ想像上の動物にしても
これらはあがめられるからいいが
河童なんかは気の毒だぜ。

おかっぱ頭はいいとして、
屁の河童なんてやすっぽくみられちゃう。
ま、したしみはあるけどさ。
つちのこ、もそうだ。
TVでときどき騒いでるが、あれはほとんど蛇の奇形。
それでも人々はネッシーやUFOとおなじように
信じてるから面白い、かわいい人たちだね。

今日、隔週の抗癌剤点滴をすませ病院からの帰り道、
なにか背後にせまる気配を感じた。
何度もふりかえってみたが誰もついてきてはいない。
お化け幽霊なんか子どもの時から恐がらないガンジーだが、
ふとおもった。
これって死神かもしれねぇぞ。
べつに寒くもなんともない。
ただ何か背中におおいかぶさってくるような気配なんだ。

はじめての経験だよ。
これでガンジーが間もなく昇天したら
これはやはり死神だったといえるかもね。
いったい死神ってどんなかっこうをしてるんだろう。
幽霊とも亡者とも違うんだろうね。
ひたいには三角の白い布をつけてるとは想像できる。
でも3者ともこれはおなじだろう。
亡者や幽霊は仏教にぞくすんだろうが
死神にはいちおう神と名がつく。
神は全知全能だが、いいことばかりしてはくれない。

もうひとつ不思議なことは
家に帰った時デカ犬のパークが吼えやがった。
顔をみてるくせにだぜ。
オカルト好きの人なら身をのりだして聞きたい話だろう。
ところが魔性といわれるネコたちは知らん顔だった。
パークは帽子を被ってる人にはよく吼える。
でもガンジーハットは見なれてるし
今日はかぶっていかなかった。
タスデ美のいうには
薬の入ったビニール袋の音が気になったんだろう
といってるがね。
もちろん彼女には死神の気配の件は話してない。

ネッシーを初めて見た(?)人は
どのように説明したんだろう。
UFOも河童もそうだが人間は想像することが好きだ。
霊魂の存在を肯定する人もいる。
これもシャーマンや恐山のイタコたちとおなじように
想像してるうちに現実とごっちゃになるんだろうね。
幽霊の正体みたり枯れ尾花、なんだね。
恐がったり興味のある人には何にでも変化しちゃう。

戦後疎開先で野狐を見た。
そして狐のさまざまな話を聞かせてくれた老人たち。
子ども達は、恐がりながらも面白くて聞き入っていたっけ。
狐にだまされ一晩中歩き回って
雪の中で野たれ死にをした人の話。
肥溜めを風呂とおもって入っていた人とか、
姑にいじめられ、狐つき、といわれ狂死した若いよめさん、
など、昔は囲炉裏をかこんで楽しんだものだ。
TVもないころの話さ。

ガンジー

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ドラマのストーリーと考えると、
このお話は、犬に吠えられたって部分が、
なによりの肝になるだろうね。

でも、ガンジーさんが感じたっていうんだから、
嘘じゃないんだろう。
そういうときは、肩のホコリを払うように、
ぱんぱんぱんっと、叩くといいんですよね。
気分的なものかもしれないけれど。


(つづく)


ガンジーさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「ガンジーさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。
全部とどけられるとはかぎりませんが。

2001-09-12-WED

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