・「イーさん」という名前の犬がいます。
推定される年齢は10歳ということですが、
もっとずっと若いかもしれないとも聞きました。
犬種は「キャバリア」で、たぶん純血種でしょう。
『福島の特別な夏。』にも登場している友森さんが、
「愛護センター」から引き取ってきたわんこです。
なんだか目は飛び出しているし、
舌が口からべろーんと出っぱなしで乾いてます。
「べーってしているけれど、
ふざけてるわけじゃないよ」と、
ブログで紹介されていたこともあります。
ずいぶん変な、マンガみたいな顔なのです。
ぼくは、「イーさん」がある程度元気になってから、
二度ほどあったことがありますが、そのときは、
少し舌を引っこめたりもできかけていました。
友森さんが、ずいぶんかわいがってたみたいだから。
「愛護センター」でも、
「イーさん」のような極端にボロボロの犬には、
なかなか里親希望者もつかなかったようです。
友森さんの周囲の人たちも、さすがに
「イーさん」を見たときには、
けっこうびっくりした、という話も聞きました。
どうして、「イーさん」がこんな身体になったのか。
「イーさん」は、何度も何度もくり返し仔犬を産まされて、
歯も毛も抜け、筋肉の力もなくなってしまったのです。
「繁殖マシーン」のように扱われ棄てられた犬なんです。
そういうわんちゃんが、現実にいるんですよね。
よくなるにも、悪くなるにも、「イーさん」は、
ずっと人間の思うままに生かされていたんですよね。
犬や猫って、じぶんの運命を決められないからね。
ぼくは、すべてのペットショップが悪いとは思いません。
ただ、悪いショップや冷酷なブリーダーがいて、
それが闇に隠れられるような社会のしくみは、
犬や猫のためにも、人間のためにも、
変えていきたいものだと思っています。
そして、そのことに期待と希望を抱いているところです。
どうぞ、『犬と猫と人間のはなし。』をごらんください。 |