第21回 「腕立て伏せのこと」
腕立て伏せしてますか?
ふだんの生活じゃ、まずしないでしょう。
もちろんアブラミ・ブラザーズも同じです。
ここ何年もしてなかった……
そんなもん、なんでするんだよ!くらいの
成人男子の一般的な認識を持っていた。
ふつうだよね、これで。
サーキットトレーニングをやるようになって、
腕立て伏せがメニューに加わったんだけど、
やっぱ最初は15回×3セット、計45回ができなくて……。
ちゃんと形になってたのは、せいぜい20回まで。
あとは下の写真みたいな、
「腕立て伏せといえない動き」を
モゾモゾやっている状態。
これじゃ芋虫だぜ!
この写真2回目の登場、そのわけは…… |
すげーぜ!
サーキット3回目の成長ぶり |
ところが、どーよ。今のオレたち(鼻息)。
腕立て伏せは、成長のバロメーター。
自分の身体がどれだけ重いかっていうのを、
数字じゃなくて、身体で実感できる。
「オレ●●キロだから……」じゃなくて、
感じるまま“重い”か“軽い”か。
まあ、軽いってのはないか。
今は、腕立てが“できるようになった”のを実感。
金:サーキットトレーニングって、1回目がいちばん
きつかったけど、2回目ちょっと楽になって、
3回目なんか、けっこうできるようになってる。
ア:休憩ほとんどないけど、そのぶん
時間かからないのがうれしいかも。
サーキットの狼になりつつあるね。速いっ。
金:苦しいことやめないでやってると、
あるとき急にできるようになるもんスね。
ア:たいていのことって、そうだよ。
いま、例は思いつかないけどさ。
金:オレも思いつかないっす。
でも、たいていのことって、そうですよね。
でも、ほかの種目を入れての
サーキットトレーニング全体としては、
できてないこと、のほうが多いです。
腕立て伏せができるようになったみたいに、
ほかも芽が出てくると信じて続けるしかない、と。
そう思えるようになったのは、
アブラまみれだったオレたちでも、やってれば
“成長する”ことを知ったからですね。
ここで「次回につづく」ってすれば、
今回はおだやかに終われるんだけど、
ホントのこと言って、オレら、
ジムの景色のなかでは「変わった2人組」なのだ。
前にも書いたけど、スポーツジムって、
オシャレなイメージがあるじゃないですか。
そういう場所で、顔しわくちゃにして、汗だくで
腕立て伏せとか、腹筋とかスクワットというのは
どうもかなりヘンなんですよ。
オレら、当たり前のことだと思ってたんですけどね。
おまけに
「もうできませ〜ん」
「まだあるんですか〜」系の情けないセリフや、
「クソッ、できねぇ!」などの自分への汚い悪罵。
まわりへのアピール力はかなり高いです。
そんなヤツがいたら、オレらだって
「こいつらなんでジム来て腕立てやってんのよ?」
って思うはずだよ。
「見てアレ、なんか汗まみれっていうか、
汁まみれだよね」って。
自信あるわけじゃないんですけど、
心のおくでは逆にカッコイイかもしれないって
思い始めたりなんかもしてます。
だって「見方によっては、ひたむき」だもの。
モテナイ光線が実はモテモテ光線だったりすることが
あるんだよ、きっと。あるといいな。
あしたのジョーとか、ドカベンとか、
ちょっと古いけど
スポーツもののヒーローってそうじゃないですか。
「いや〜、あんな激しい腕立て伏せ……なぜ??!!」
「なんかあのふたりステキ!みたい」
「みたいって言うより、ステキじゃない?」
「わたしはステキと言い切るわ!」
ほーら、やっぱりステキじゃん。
……もてたい欲むきだしで、
ガーッと書いてしまいました。オレのバカ。
そうそう、カッコイイといえば、
ジムで不思議な人をみかけました。
鏡の前で自分と見つめ合う男。
ルックス的にはトヨエツ……っていうとほめすぎだから、
「よっちゃんの酢漬けトヨエツ」くらいにしときますが、
それでもけっこうモテモテ光線発射系。
で、その人、鏡の前のマシンに座ったまま、
ジーーーッと自分と見つめ合ってるんです。
たまーにバーベル上げて、またジーーーッ。
鹿おどし(ししおどし)みたいですね。
日本庭園にあるじゃないっすか。
竹筒に水がたまると、傾いて水がこぼれ出すやつ。
石たたいて、コッポーンって。
あの世界。
で、不思議なのは、やたらトイレ行くこと。
下痢してるようには見えないし、
あんなひんぱんに行くなんて考えられない。
で、オレらの出した結論は、
鏡をチェックしにいってるんじゃないか、と。
つまり、大部屋の鏡じゃチェックできなくて、
トイレの鏡じゃなきゃダメな項目がある、と。
瞳の星の状態とか?
鏡、鏡、鏡、鏡、バーベル、鏡、鏡、鏡、便所、鏡……。
鏡、鏡、鏡、鏡、バーベル、鏡、鏡、鏡、便所、鏡……。
鏡、鏡、鏡、鏡、バーベル、鏡、鏡、鏡、便所、鏡……。
ず〜っと、これを長い時間リフレインで歌っている感じ。
鏡で自分のフォームをチェックしながら
トレーニングやるのはいいことだけど、
あれはちょっと違う。エロティシズムって世界か?
“鏡の男”しばらく注目ですぜ。
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