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第25回 「オレらは野茂選手になれるのか」

いわゆる“エアロビ”挑戦してます、って話の前に
ずっと気になってたことを書きます。



スポーツジムでオレらを指導してくれる
齊藤トレーナーの上司、
アブラミブラザーズが大川総監督と呼んで恐れている
大川達也さんは、メジャーリーガー野茂選手の
トレーナーを勤めてるんですね。
要は、スポーツ医科学のプロフェッショナルっす。

それで、あるとき、齊藤トレーナーに
「オレらと野茂選手を身体的にくらべると、
どーなんスか? 大川さんに聞いてみてくださいよ」と、
お願いしたことがあるんです。
ふだんテレビで見てるスポーツ選手とオレらって
身体的にどこが、どーちがうんだろ、という興味で。

パッと見で、ぜんぜんちがうってのはわかるんだけど、
聞いてみたいってのが人情ってもんだ。
そしたら、うまーいこたえが返ってきたんですよ。

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「野茂さんとアブラミ・ブラザーズとの比較」

人間の身体は、骨や筋肉、靱帯など、
組織の形態や数に特に大きな違いはなく、
基本的には同じであるといわれています。
トップアスリートだけ靱帯の数多かったり、
骨が特別に太かったりという身体を
もっているわけではありません。

それでは、トップアスリートと一般の人では、
なにが違うのでしょうか?
トップアスリートの代表として
メジャーリーガーの野茂さん、
一般人の代表として
アブラミ・ブラザーズを例にして考えてみましょう。

もっとわかりやすくするために、
自動車の世界を例に考えてみます。
トップアスリートをフェラーリ、ポルシェなどの
スーパーカー、
一般の人をカローラ、サニーなどの普通車と
おきかえることができます。

フェラーリなどのスーパーカーは、
エンジン(排気量)が大きくて、馬力があり、
コーナリングがいい。
それに対してカローラなどの普通車は、
エンジンもそこそこで、馬力、コーナリングもそこそこ。
フェラーリとカローラは決定的にちがうので、
いくらがんばっても
カローラはフェラーリにはなれませんよね。

かといってカローラがまったくダメというわけではなく、
がんばって手入れをしっかりして、チューニングや、
ドレスアップなどをすれば、カローラはカローラでも、
なにもトレーニングしないカローラよりは
相当いいカローラになれるはずなのです。

このことは、人間にもあてはまります。
一般の人はいくらがんばってトレーニングしても
野茂さんのようなトップアスリートにはなれませんが、
レベルに応じたトレーニングをしていけば、
そこそこカッコよくなれて、
女の子にモテる身体になれるのです。

たとえば、有酸素トレーニングで脂肪を落とし、
心肺機能を強くする。これはクルマにたとえると、
1500ccのエンジンを2000ccにすることになります。

また、筋力トレーニングで筋肉をつけ、
筋力をアップさせる。これは、クルマでは
馬力をアップさせることになります。

さらに、バランストレーニングで
ボディバランスをよくする。
これはクルマではコーナリングを良くすることになります。

トップアスリートと一般人では、脳の命令に忠実に
身体が動くかどうか、言いかえれば、筋肉の反応
(身体を上手く使えること)がちがうのです。
イイ身体になっても、動けないボディビルダーとは
そこが決定的にちがいます。

野茂さんのピッチングフォームを思い出してください。
あのみごとな身体のしなりは、
生まれもった身体の大きさや強さもありますが、
スポーツ医科学に基づいた緻密なトレーニングや
練習で生まれたものなのです。

ですから、いくらアブラミ・ブラザーズが
トレーニングを積んで筋肉ムキムキになっても
まねできるものではなく、
やはり、野茂さんのようにはなれないのです。

要するに、野茂さん(トップアスリート)と
アブラミ・ブラザーズ(一般の人)では、
身体の構造的なものは同じですが、
機能的なものは決定的に違うのです。

ストロングス・パーソナルトレーナー
齊藤邦秀

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齊:というわけなんですよ。

金:人間って生き物としては同じはずなんですけどねぇ。
  同じクルマでもスーパーカーと普通乗用車のちがいって
  説明されると、わかるけど、ショック!

ア:スーパーカー消しゴム、集めたよね。昔。

金:ボディビルダーが動けるわけじゃないってのは、
  ははーん、なるほど、ですね。
  筋肉ムキムキのボディビルダーが、
  カールルイスよりも速いかっていったら
  そんなことないもんね。

齊:ボディビルダーは見せる筋肉ですからね。

金:それがダメってことじゃなく目的がちがうんですね。

齊:筋トレでつけた筋肉を実際に使うってのは、
  また別なことですからね。
  腕の筋肉すごいつけたからって、
  すごい球投げられるってことじゃないですから。
  ようは、ココ(頭を指さす)で決まるんですよ。

金:アタマ……。

齊:神経組織の問題ですね。脳で考えたことが
  素早く正確に筋肉につたわって、身体を意のままに
  動かせるかどうかってことなんですよ。

金:いわゆる運動神経がイイ、ワルイってやつですか。

齊:まーそうですね。
  で、そういう神経ってのは、9歳くらいで、
  できあがっちゃうんですよ。

金:ほほう、じゃ野茂選手とか、小さいころから
  野球とかいろんな運動して、鍛えてきたんですね。
  運動神経って子供のころにガーッと作られるんだ〜。

ア:いたよね、クラスで妙に運動神経いいやつ。

金:そういえば、僕も子供のころ外遊びばっかりで、
  木登りまけなかったもんね。今はムリだけど……。

齊:アメリカのスポーツ選手って、野球とアメフトとか
  掛け持ちでできたりするじゃないですか。
  あれは、子供のころから1種目だけじゃなくて、
  いろいろなスポーツをやってるからなんですよ。

金:やっぱ子供のころですか!
  日本だと、少年野球やったら1年中野球だよね。
  部活にしてもバレー部だったら1年中バレー部。
  それあたり前っぽかったけど、べつにそうしなくても
  いいんだよね。ホントはいろいろやりたかったもの。
  夏は水泳部、冬はサッカー部とかさ。
  アメリカはいろんな種目をやるのがフツーだと。

齊:そうですね〜。

金:そういえば、ずっと活躍してるイチロー選手も
  優秀なトレーナーさんがついてたりするんですかね。
  何年か連続で首位打者になってるし。

齊:さー、どうでしょうか?
  ただ、あの方もココですよ(といって頭を指さす)。
  毎年筋トレして、筋力アップしますね、
  同時にフォームも調整してるんですよ。
  つまり、筋力がアップしたぶん、
  今までと同じフォームじゃダメなんですよ。
  効果的なバッティングができなくなるんです。
  毎年、アップした筋力にあったフォームを
  創っていってるんでしょうね。
  だから素振りとか大事にしますよね。

金:筋力アップしたのに、スランプになる選手の話、
  よく耳にしますよね。

齊:フォームがくずれるってよく言います。
  
金:中学で陸上部にいたころ、とにかく気合いと根性で
  全力で走れって言われてて、筋トレやるんですよ。
  でも思ったほどタイムが縮まらない。
  ところが顧問がかわって何も言わない先生だったから、
  陸上雑誌とかよんでフォームかえたら急に速くなった。
  それまでは筋力を走ることに有効に使えてなかった
  ってことですよね。

齊:ありがちですよねー。
  今、アブラミのおふたりは筋力つけて、
  有酸素運動して、やせようとしてますけど、
  いい身体になっても運動神経がよくなるとのは別です。

金:ほほ〜う。だから“エアロビ”やったら身体が
  動きについていけないんだな〜。
  何回かやるうちに動けるようになりたい〜!

というわけで、次回はいよいよ、
いわゆる“エアロビ”に挑戦するの巻、です。

そうそう、大川総監督、またアメリカに出張です。
「とりあえず、明日からミルウォーキーに行くので、
なんかいい話あったら聞いてきます」と言って、
アメリカ行きの飛行機に乗ったのでした。
いい話ってのは、もちろん野茂選手の話です。

(つづく)

1999-06-04-FRI

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