GUERRILLA
ダイエット・ゲリラが行く!

第27回 番外編 
「大川総監督が語る、私の仕事」
“メジャーリーグ事情”その1

今回と次回は、番外編として、
アブラミ・ブラザーズが大川総監督と呼んで恐れている
トレーナーの大川達也さんに、先日アメリカに
出張したときのことを書いてもらいました。
内容? もちろん野茂選手やマック鈴木選手が登場します。
こういう話をきかせてもらうと、
大川さんってほんとにすごい人なんだなって思います。
連載26回目のいちばん最後にある、
大川さんが今シアトルにいるという話が、
この番外編のきっかけになったんですよ。




私はなぜシアトルにいたのか

まず、なんで先日シアトルにいたか
っていう説明をします。

6月14日(月)に、私はNY(ニューヨーク)から
デトロイトに移動し、
4日間マックの試合観戦をする予定でした。
また、マックから、調子があまり良くないとの
報告をうけていたので、
コンディショニングチェックも兼ねていました。

14日はマックの登板はなく
(木田選手の初勝利は見たが……)、
15日の朝を迎えました。
昼ごろ、マックが球団関係者に呼ばれて、
5分ぐらいで帰ってきました。
それが40人枠から外すから、
すぐ荷物をまとめてシアトルに戻って待機してくれ
という話でした。

世間のみなさんは、知ってはいないでしょうが、
野茂さんのときもそうでした。
メジャーというのはとても厳しい世界なのです。
いきなり、そういう話をされるのです。

野茂さんの時も、今回のマックの時も
日本の新聞、マスコミはすぐに
解雇とかクビという表現を使います。
それが間違っているとは言いませんが、
メジャーリーグの世界では、
トレードとかウエーバーにかかって
新しいチームに移るということは、
もっとポジティヴにとらえられています。

なので、自分を必要としてくれる新しい球団に移るのは
アメリカでは全然珍しいことでもなんでもないのに
やたら日本の新聞はマイナスっぽいことを書きます。
現に野茂さんのチカラが落ちたとか、
言ったり書いたりしていた人がいっぱいいたけど、
「チカラが落ちた選手が、
いきなり4勝するか!(現在6勝)」
と、私は言いたいのです。

もともと野茂さんのチカラは落ちていません。
それを、落ちている? という
判断ミスをしたのがMETSであって、
チカラが落ちてないという証明をしたのが
野茂さんなのです。

それはどんな世界にでもあることで、
株だって「もう下がるだろう」とプロが判断しても、
より上がる時もあれば、その逆もあります。
なので、チームの移籍などの動きは、
とてもいい意味でのビジネスであって、
あまり義理人情が入りにくい世界です、メジャーは……。

話は戻りますが、マックが慌ててシアトルに戻る事になり、
私も急遽一緒にシアトルに行くことにしました。
それというのも、球団が支配下から外した選手は
いっきに練習場所も失ってしまうからです。
次のチームが決まるまで、
ひとりで練習しなければならないし、
グラウンドも貸してくれません。
なのでいっしょに練習をすることになったのです。
野茂さんのときも同じような状況で、
私がキャッチボールのとき球を受けたりしていました。

それで、シアトルともお別れということで、
シアトル在住の格闘技選手、TKこと高阪剛さんも呼んで、
食事したりしていたのです。
TKはマックに招待されて、何回もマリナーズの
GAMEを観戦に行ったりしていました。
前日に電話した時は
本来なら遠征に出ているはずのマリナーズの選手が
シアトルに帰って来たので、
TKはびっくりしていましたが、
会った当日は新聞にもマックのことが一応載っていて、
それを読んだらしく、
今の状況をちょっとわかってました。

というわけで、
私はシアトルにいたのです。

ストロングス 大川達也



次回はマック鈴木選手の移籍の話に進みます。
また、野茂選手は7月1日、7勝目をかけて、
Cubs戦に登板するとのこと。
原稿には、日本で報道されている“復活”が
じっさいに現場で見ているトレーナーの目には、
どううつっているのかということも書かれていますよ。

(つづく)

1999-07-02-FRI

BACK
戻る