原丈人さんと初対面。 考古学から『21世紀の国富論』へ。ベンチャーキャピタリストの原丈人さんと 糸井重里が会いました。 最初、コンテンツにしようなんて 考えてなかったのですが そのときの話が、とにかくおもしろかったのでした。 考古学者のたまごから 世界が舞台のベンチャーキャピタリストへ。 一歩一歩、「現場」をたしかめながら歩んできた 原さんの「これまで」と「これから」。 そこにつらぬかれている「怒り」と「希望」。  ぜひどうぞ、というおすすめの気持ちで おとどけしたいと思います。 ぜんぶで10回、まるごと吸いこんでください。 あなたなら、どんな感想を持つでしょう。


第0回 連載をはじめる前に。  糸井重里
原丈人さんの本を探すと、
『21世紀の国富論』(平凡社)という本が見つかります。
その本の帯には
「シリコンバレーで
 数々の企業を成功させてきた
 実業家が語る日本の未来」
と記されています。
アメリカで大きな成功をおさめた日本人らしい。
そして、いくつもの企業を育てるための後押しをする人?
正直言って、ぼくには縁遠い人だと思っていました。
しかし、本を読むとおもしろい。
ひとつは底を流れる「怒り」があること。
「怒り」を売り物にする人はいっぱいいるけれど、
この人の「怒り」は、静かで本気だと思えたのです。
もうひとつは、「希望」を軸にして行動していること。
解決策が必ずあるものだと信じきって動いている。
これが、とても気持ちよかったのです。

アメリカで成功した人のなかには、
こんな人もいるんだ‥‥と、興味はあったのです。
でも、その人と突然会うことになるとは、
思ってもいませんでした。
でも、縁というのはおもしろいもので、
お会いすることになってしまったのでした。

そしてなんと、
ぼくと、その場にいた「ほぼ日」の乗組員は、
この初対面の原さんの語ることばのおかげで、
目を輝かせていくことになるのです。
起きぬけのぼくは、なんだか元気になっていました。
植物に光が注ぎ、雨が降り注いだような時間でした。
その場にいた原丈人さんは、本のなかの原さんより
さらに「希望」に満ちた人でした。


これは‥‥読者に伝えなきゃ。
掲載の予定になかった対談は、
こうして連載されることになりました。


2007-11-19-MON

(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN