ほぼ日 |
星野さんは、だいぶ小さいころから、
たいへんな思いをされたんですよね。
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星野 |
たいへん(笑)、もう、たいへんで。
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浜野 |
笑ってる(笑)。
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星野 |
すごかったのは、小4のときに、
体育の授業でマラソンをやってて。
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ボーズ |
あ、そのシチュエーションが、もう(笑)。
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星野 |
マラソンって、まあ、疲れるじゃないですか。
ぼく、すごい運動が苦手だったんですけど、
もうへとへとになったころに、
急におなかが痛くなってきちゃって。
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タナカ |
うん、うん。
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星野 |
「先生、トイレに行ってもいいですか」
って言って、
「ああ、いいぞ」と言われて、
その校庭から下駄箱の前を通って
トイレに行くまでに
100メートルくらいあるんですけど、
へとへとなんで力が入んないんですよ。
「痛いな、痛いな」と思いながら
走って行くんだけど、
これ、ちょっと、
もうちょいしたら、
やばいかもしれない
と思いだして‥‥。
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ボーズ |
うん。
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星野 |
下駄箱に着いた時点で出ちゃったんですね。
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一同 |
ああ‥‥。
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タナカ |
そうか‥‥。まあ、しゃあない。
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星野 |
ぼくの通ってた学校の体育は、
白シャツに白い短パンだった。
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ボーズ |
うわ、白。
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タナカ |
白か。
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浜野 |
それ、きびしい。
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星野 |
小4ってけっこう、その、ちゃんと。
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タナカ |
もう自意識が出てきてるからね。
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ボーズ |
小4でそれは、けっこう大きいね。
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星野 |
人によっては性に目覚める子も
いると思うんですが。
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浜野 |
小4で?
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ボーズ |
まあ、そこはいいじゃないか。
それで?
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星野 |
その、白い短パンの横から、
すーって出てきたんですよ、その‥‥。
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タナカ |
うん、エメラルドや。
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星野 |
エメラルドが。
短パンの裾から、
もう、滝のように。
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ボーズ |
滝かぁ‥‥いや、きっついね(笑)。
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タナカ |
しかも白や。
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星野 |
みごとに柔らかい。
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タナカ |
軟エメラルド。
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ボーズ |
他人ごとながら、
すごいハラハラするよね。
汗が出てくる。
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星野 |
ぼく、もう、パニックになっちゃって。
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タナカ |
今、この場に、もう、
これ以上、触れられない空気が出てきた(笑)。
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一同 |
(笑)。
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浜野 |
うん、もう言わんでいいって感じ。
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タナカ |
これ以上しゃべらんで、怖いから。
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星野 |
で、ね。
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タナカ |
あ、言うんや(笑)。
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星野 |
うわあ、エメラルド出てきたと思って、
もうどうしたらいいかわかんなくて、
まだ下駄箱なんですよ、そこ。
ああ、どうしようと思ってパニックになって‥‥
何を思ったか、太ももにこぼれ出た
大量のエメラルドを、
手ですくって思いっきり投げたんですよ。
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一同 |
わー。
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星野 |
そしたら下駄箱の壁に、
ナイキのマークがスターン! とできた。
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一同 |
わはははははは!
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ボーズ |
そうか、そこまでがネタなんだ(笑)。
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星野 |
ネタじゃなくて、事実ですよ。
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ボーズ |
ナイキのマーク。
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浜野 |
ナイキ(笑)。
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星野 |
下駄箱にびっしりエメラルドが。
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ボーズ |
‥‥この話、どうなの?
ほぼ日的には、ぜったいNGでしょ?
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タナカ |
こんなまあ、優良サイトで、
エメラルド、エメラルド
って。
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ボーズ |
ナイキにも申し訳ない。
でも、まあ、例えだからね。
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星野 |
習字の筆で「一」って書いた
みたいでもありました。
ぴしゃーっと。
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一同 |
(笑)
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タナカ |
エメラルドの墨汁で。
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ボーズ |
ナイキ、プラス!
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星野 |
プラスはさすがになかったんですけど(笑)。
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タナカ |
でもさ、何で投げたの?
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浜野 |
うん、そうだよ。
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星野 |
もうほんとパニックだったんです。
わけわかんなくなっちゃって。
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ボーズ |
「今、ここにあっちゃだめだ!」っていう?
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星野 |
そうなんです。
ここでエメラルドを下に落としたら、
完全にぼくだと思われる。
ひとまず投げてから考えよう、と。
で、バーンと投げたら、
壁にバーンとエメラルドの線ができて。
とりあえずよし、と。
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ボーズ |
よしじゃない、よしじゃない(笑)。
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星野 |
とりあえず、よしと思って、
トイレに駆け込んだんですけど、
もう途方にくれて。
白い短パンもエメラルドで
茶色くなっちゃってるし。
どうしようもなくて悩んでたら、
個室のドアの上から、
友だちが乗り上げてきて、
「こいつエメラルドもらしてる!」
となって、ぼくはその日から、
あだ名がエメラルドになりました。 |
一同
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あー。
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浜野 |
やっぱエメラルドになるんだ。
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ボーズ |
なったんだね。
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タナカ |
みんなさ、一度は
エメラルドになってるの?
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ボーズ |
ぼくはなってない。
大人になってから派だもん、
30からの、はらよわだから。
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浜野 |
ぼくも最近だから。
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タナカ |
あ、そうか。
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星野 |
でもぼくもね、その事件から、
トイレに行けるようになったんですよ。
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タナカ |
ああ、個性として認めさせたんや。
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星野 |
授業中でも、それこそ行けるようになって。
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ボーズ |
境地じゃん、開き直りの。
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星野 |
荒療治でしたけど(笑)。
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浜野 |
あだ名は、ずーっと、
エメラルドだったの?
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星野 |
ずーっとですね。
ぼくそれまでは、
「原始人」ていうあだ名だったんですけど。
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一同 |
(爆笑)
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ボーズ |
どっちも、あんまりだね。
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星野 |
で、ハマケンと同じ中学に入学してからは、
エメラルドと呼ばれなくなりました。
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タナカ |
長いこと、よおがんばったねえ。
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浜野 |
ぼくらの中学は、
エメラルドみたいな
やつばっかり集まってたよね。
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一同 |
(笑)
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ボーズ |
町のエメラルドたちが?
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星野 |
繊細なエメラルドたちが。
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ボーズ |
われこそはエメラルドなり!
‥‥この座談会、ほぼ日に載せられるの?
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ほぼ日 |
いやいや、なんとか、考えます。
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ボーズ |
切実なテーマなんだけどなー。
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星野 |
でもやっぱりハラマキを語るときには、
エメラルドの話は避けられないでしょう。
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ボーズ |
うん、そうだよね。 |
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〈つづきます!〉 |