ほんとうにほんとのハワイ。 |
■Vol.38 ハワイの迷信 Part1 今回からは、ハワイの迷信や習慣についての お話をしたいと思います。 そのすべてをここにはご紹介できないので、 私が面白いと思うものをいくつかあげてみましょう。 ハワイでは、日常のなかに 迷信が当たり前のように存在しています。 迷信とはいっても、みんなそれを とりあえずは信じているわけです。 「この現代にそんなのを信じるなんてナンセンスだ」 と主張する人でも、敢えて “バッド・ラック”とされていることを やるようなことはしません。 まず最初に書きたいのは、私が子供の頃に体験したお話。 みなさんは、突然誰かに 呼ばれたような気がして振り返ったり、 「いま、誰か呼ばなかった?」と 回りの人に尋ねたりしたような経験はありませんか? “知らない声が自分の名前を呼んだら、 決して返事をしてはいけない” これは、ハワイに古くから言われていること。 子供の頃、私はある“事件”をきっかけに なぜそういう言い伝えがあるのか、 その理由を知ることになったのです。 それは、私が7歳の夏の日のことでした。 私は子供の頃、毎年モロカイの祖母の家で 夏を過ごしていてました。 近所の子供たちは、夏休みが終わると 私が帰ってしまうことを知っていたので、 毎朝早くから祖母のベッドルームの窓の外で 遊びに行こうと私を誘ったものです。 ある朝早く、ベッドルームの窓から 誰かが私を呼ぶ声がして目が覚めました。 その声は私の英語名ではなく、 ハワイアン・ネームを呼んでいました。 そのとき、私はなぜか 不自然な感じを受けなかったのですが、 でも確かに、その声は私の知らない人のものでした。 それは、大人の人の声でした。 私の横で眠っていた祖母も その声に気づき目を覚ましました。 祖母の顔にはなにか不安な表情が浮かんでいました。 私はベッドを起きだして、 窓から声のするほうに目を凝らしました。 でもそこには誰もいません。 祖母は私にベッドに戻るようにと言いました。 「おばあちゃん、誰かが私を呼んでるよ」 祖母は頭を横に振って、 「遊びに行くにはまだ早すぎるでしょう。 とにかくベッドに戻りなさい」 と言い、私は素直にそれに従いました。 ところがその数日後、同じことが起こりました。 年をとった女の人の声が私の名を呼ぶのです。 今度も私は不思議と怖さを感じませんでした。 私はまた起きだして目を凝らしてみましたが やはり誰の姿も見えません。 祖母も目を覚まし、身を起こすとまた私に、 気にしないでベッドに戻るようにと言いました。 まだ夜が明けて間もなく、 時計を見ると5時半を指しています。 太陽はやっと地平線から体全部を見せたところです。 「あれは誰なの、おばあちゃん?」 私は聞きました。 祖母は頭を横に振り、私に背を向けて ベッドの端に座っているだけです。 そして、私がベッドに戻り再び眠りに落ちる前に 祖母はこう言いました。 「タマラ、もし聞いたことのない声に呼ばれたら 決して返事をしてはいけないよ。 声のするほうについて行ったりなんてことは なおさらしちゃいけない。わかったね」 私は祖母に約束しました。 ところが、私はその後、 祖母との約束を破ってしまったのです……。 <To be continued> |
2000-10-06-FRI
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