ほんとうにほんとのハワイ。 |
■Vol.44 ハワイの宗教 Ho'omanamana - Kahuna ホオマナマナとカフナ Part2 ホオマナマナは、使い方によっては もっとも恐ろしい宗教と言えるかもしれません。 善に使えば本当に人を助けることができますが、 悪に使えばとんでもない恐怖を呼び起こします。 それはすべて扱うカフナによって違うのです。 とはいえ、ほとんどのカフナは “白魔術”と呼ばれるものを扱い、 人を助けることにその力を使っていました。 白魔術を行うカフナは、神に祈り 知識と力を授かってマナを手に入れました。 カフナになる者は幼い頃から瞑想を習い、 邪念に惑わされないよう集中する訓練をします。 敬虔かつ迷いのない信仰が、 奇跡のような術をも可能にするといわれていました。 昔のハワイには、人を助ける白魔術と対照的に、 恐ろしい“黒魔術”を扱うカフナもいました。 カフナにはたくさんの種類があり、 それらは大きくふたつのグループに分けることができます。 そのひとつは“Ku(クー)”、 そしてもうひとつが“Lono(ロノ)”です。 クーのカフナは戦争や闘いに関することを、 ロノのカフナは農業や平和に関することを 行うことになっていました。 クーもロノもそれぞれさらに細分化され、 カフナたちの専門はとても細かくわかれていました。 白魔術はロノ、黒魔術はクーに 含まれるもののひとつなのです。 どうやってこれらの不思議な術が始まったかについては ハワイに記述のシステムがなかったため 今日となっては誰にもわかりません。 かつて、すべてのハワイ人は いまでいう“超自然”的な力を信じていて、 そういったものも昔のハワイ人にとっては 自然の一部だと認識されていました。 カフナはこの世のすべての魂、 死んだ人の魂をも使って善と悪、 両方の奇跡を起こしたそうです。 白魔術のカフナにも何百もの種類があり、 たとえばカフナ・キロラニは天文や気象に関することを、 カフナ・ホオウルアイは農業に関する術を 専門としていました。 白魔術のなかでもメインに位置するのは カフナ・ラアウ・ラパアウ。 これは医者と同じような役割のカフナで、 現代でも命を落とすような大病でさえ 治すことができたといいます。 彼らは、病人の息やベッドの匂いを嗅いだり、 排泄物の状態をみたりして診断をしたそうです。 診断法のいくつかは 現代の医者が行っていることと非常に似ています。 普通、それらの病気はハーブや魚介類などを調合して 薬にし、患者に服用させ治療したそうです。 カフナたちが行っていたという秘術の話を聞くと、 それは本当にビックリするようなことが多く、 私でもたまに信じられない気持ちになります。 彼らは白内障の切除など、 簡単な手術まで行っていたという話も聞きました。 しかし彼らは、肉体を切ることは、 その人の体を弱めることになると信じていたので、 最終的な手段と決めていたようです。 手術にいたるまでにありとあらゆる治療法を試み、 もう尽くす手がないときにだけ手術を行っていました。 黒魔術のカフナに関しては、 種類が多すぎて簡単には説明できません。 代表的なのはカフナ・アナアナで、 これは呪いを専門とするカフナです。 このカフナは非常に残酷で、依頼人の望みとあれば 呪いで人を殺すこともありました。 しかし、呪いはいつも成功するというものではなく、 ときには依頼者やカフナに返されることもあったそうです。 「Ho'i no 'ai i kou kahu(ホイ ノ アイ イ コウ カフ)」 という言葉は、ハワイでは現代でも とてもよく知られているフレーズです。 これは呪いを返す儀式でカフナが唱える言葉で、 “もといたところに戻れ”という意味なのです。 これをカフナが言うと呪いが戻っていくというわけです。 実は、この言葉にまつわる 身近なエピソードもあるのですが、 それはまた別の機会にご紹介することにします。 |
2000-11-10-FRI
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