ほんとうにほんとのハワイ。 |
■Vol.48 ハワイの宗教 ヘイアウと古代の儀式 ハワイの古代の寺院、ヘイアウは カフナ・クヒクヒプオネが設計しました。 カフナ・クヒクヒプオネとは、いまでいう 建築家みたいなものですが、 寺院の設計を専門に行っていました。 ヘイアウにはふたつのベーシックなデザインがあります。 ひとつは祭壇のみで壁も屋根もないヘイアウ。 もうひとつは壁のあるヘイアウです。 屋根はあるものとないものとがありますが、 壁があるものはほとんどが古いタイプの ヘイアウだといわれています。 しかも、これらのヘイアウの形は中南米の寺院が もとになっているそうです。 ハワイ人はカヌーで北米や南米に 渡ったりしていたという説があり、 その影響なのか、インカやアステカの寺院は これらのハワイのヘイアウにとてもよく似ているのです。 これらの石造りのモニュメントは、 もちろん神のために建てられました。 宗教的な儀式や霊との対話、 そして祈りを捧げるための神聖な場所なのです。 ときには、ここで生贄が捧げられるような 儀式が行われることもありました。 そういう儀式の9割は、やはり人目をはばかるためか、 壁のあるヘイアウで行われました。 生贄について、もう少し詳しくお話しましょう。 生贄は、通常飢饉や災害の際に 神の怒りを鎮めるために捧げられました。 ハワイにはかつて4つの階級があって、 それらは王族、カフナ、普通の市民、 そして奴隷に分けられていました。 そして犠牲になるのは、やはり奴隷階級の人々でした。 ほかに、戦争のときには、勝った王が捕らえた敵兵を 神にお礼をする意味で捧げたりもしたそうです。 また、みなさんはとても驚くと思いますが、 ハワイには昔、人肉を食べる儀式もあったそうです。 戦争の際、負けた側の王は必ず殺されるのですが、 戦勝国の王は敵王のマナを自分のものにするため、 特別な儀式を行い、敵王の肉を 口にしなければならなかったというのです。 ところが、ハワイの人々の誰もが この儀式をとても気味悪がっていました。 戦いに勝ったらやらなければいけないと 決まっているとはいえ、当の王たちにも かなりの苦痛だったといいます。 これらの儀式は、現代に生きる私たちからすれば、 とんでもなく信じられないことです。 ハワイの古代宗教は、事実として このような原始的な側面をもっていました。 自然を敬い、生命を取り巻く世界の調和を重んじる一方で、 “野蛮”な儀式も大真面目に行なわれていました。 「時代の流れの中で消えていったもの」は必ずしも “善いこと”ばかりではありません。 しかし、こういったこともひとつの国の 歴史や文化の一部であることは間違いないわけで、 私は、過去の価値観として 客観的に見ようと努めています。 |
2000-11-24-FRI
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