ほんとうにほんとのハワイ。 |
■Vol.49 ハワイの宗教 特殊なヘイアウ、プウホヌア ハワイには様々なヘイアウがあって、 それぞれに違う神が祀られていました。 その中でひとつご紹介したいのは、 プウホヌアというヘイアウ。 これは、その場所に逃げ込めば すべてのものから守られる、という 神の聖域としてつくられた特別なヘイアウでした。 絶えず戦争を繰り返している王たちが 平和的に会談をしなければいけないときにも、 この場所が使われました。 普段は殺し合っている間柄でも、ここでは静かに 話し合いをしなければいけないと定められていました。 このヘイアウで争うことは決して許されなかったのです。 それぞれの神のために様々な ヘイアウが建てられていましたが、 プウホヌアは特別な場所で、 ここだけで4人の主たる神に祈ることもできました。 また、プウホヌアはカフナや王族の 修行の場でもありました。 犯罪者がプウホヌアに逃げ込めば、 すべての罰から逃れることができました。 しかもそれだけでなく、犯罪者はその汚れた魂を ここで清めることもできました。 どんな犯罪を犯しても、ここで祈り悔い改めれば 神の許しがもらえるという非常に特別な場所だったのです。 聖なるプウホヌアでの争いごとは絶対の禁であり、 ここにいればどんな犯罪者も 追手を逃れて安全に暮らせたわけです。 しかし、ここから一歩外に出れば、 復讐に遭うことも度々ありました。 たとえば、夫が妻を殺してここに逃げ込み 神に許しを請うと、罪は償われ魂は清められます。 けれど、外に出ればいつ妻の家族に殺されるかもしれない。 ハワイでは復讐は法律で許されていました。 でも、一生ここを出なければ助かるとはいえ、 人々はやはり外の世界に出たくなるものです。 それに、かつてのハワイの思想では、 一番避けるべきことは死よりも、魂の汚れでした。 その頃の人々は魂の存在を信じていたので、 殺されてしまうことより、 魂が汚れたまま彷徨ってしまうことのほうが ずっと恐ろしいと皆思っていました。 もっとも代表的なプウホヌアはハワイ島にある プウホヌア・オ・ホーナウナウです。 これは非常に広く182エーカー(73.7ヘクタール)の 公園になっており、1961年には ナショナル・パークに指定されました。 ビジターがハワイの壮大な遺産を その目で見ることができる数少ない場所です。 この公園には、草で作られた伝統的なハワイの家や、 昔の建物、寺院の祭壇、王族の養殖用の池、 ソリの競技場、村のレプリカなどもあります。 プウホヌアに隣接して、ケアヴェという王族の寺と墓地、 いくつかの草の建物などもあります。 ケアヴェはこの土地を治めていた力のある王で カメハメハの先祖にあたります。 ハワイ島にあるプウホヌア・オ・ホーナウナウの一部。 この場所は、長い年月の間に すっかり朽ち果てていたのですが、 歴史家や科学者、考古学者たちが調査を続け 再現に尽くしたので、400年前と同じ姿で蘇りました。 ケアヴェの土地とプウホヌアを隔てている 巨大な壁は、訪れた人々を圧倒します。 その壁は大きな石をひとつひとつ 人間の手によって組み上げたもので、 高さが10フィート(約3メートル)、 厚さが17フィート(約5.2メートル)、 長さは1000フィート(約300メートル)にも及びます。 古いハワイに関心がある方は、 ぜひハワイ島のプウホヌアを訪れてみて下さい。 本当の古代のハワイに触れ、 その壮大な歴史にきっと感動することと思います。 壁の中に入った瞬間、時の流れを超え、 古の人々の息吹を肌で感じていただけるはずです。 |
2000-11-28-TUE
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