へなちょこ雑貨店。
一寸の虫の五分のたましい物語。

■プロローグ

はじめまして。
「ほぼ日」読者としてメールをお送りしたのをきっかけに、
このような場をもたせていただくことになりました
オガワと申します。
わたしのつたないメールに目をとめてくださった、
編集部のみなさんに心より感謝いたします
(が、感謝しつつも、ヒトの店を初対面で
 「へなちょこ雑貨店」って名付けるこた、
 ないんじゃないかと、やや恨み節)。

わたしことオガワと、
15年来の付き合いになるオオタケは、
会社員という安定収入の道を、
ある時ついうっかり捨ててしまい、
今をときめく、いや、正確には
「ちょっと前ならときめいていた」裏原宿に
今年1月、アメリカン日用雑貨とおもちゃの店
『26(two-six)』をいきおいで、オープンしました。

裏原宿で、アメリカン雑貨、なんていっても、
ヴィンテージものやアンティークなどの
こじゃれたお店ではありません。
いわば、そういったお店とは「真逆」に位置しています。

「JUNK YARD」という名(訳すと廃品集積場。うーむ)の
小店舗11軒を擁する“長屋”のいちばん奥に位置し、
お店の広さは4畳半です。
扱っている商品は、
“罫が太くて紙が悪い、
 表紙のかっこ良さ勝負のレポート用紙”や、
“2000年モデル(?)のせっけん”などの「日用品」と、
投げるだけ、飾るだけ、しか遊びようのない、
雑なつくりの「アメリカン・トイズ」。

つまり、生活になくてもいいもの、のオンパレード。
アメリカン雑貨とうたっていながら、
裏に「Made in China」って書いてあっても、気にしない、
ふところの深い方のご来店をお待ちしています。

立地とそういう奇特なお客さま頼みで
「商い」として成り立つのか?
というご意見もありましょう。
おっしゃるとおり、成り立っていません。
ぜんぜん、まったく。
エヘン、どうだ!っていうくらいに。

いやしかし、そうそう大いばりでヒマにしていても
食っていくことができませんので、
オオタケともども、外でバイトしております。
経営者 兼 フリーター?
(来年の確定申告、どうするのか。今は知りたくない)

バイトしてまで、商いをしているというと、
よくやるよ、と、珍しがられることが多いのですが、
芸人さんや役者さんを目指している方たちが、
稽古に励みながらアルバイトをするのと同じ発想なんです。
違う、のか?
このあたりが、「へなちょこ」と呼ばれてしまう
ゆえんらしい(初対面で)。

ということで、わたしたちがお送りするのは、
輝かしい「サクセス・ストーリー」ではありません。
はたまた「店舗経営を目指すアナタ」に送る
コンテンツでも、ないです。
いきおい一発で、とりあえず始めてみた
27歳のおんな2人、
――「そんなけつの穴の小さいことをするな!」が口ぐせの
“大物経営者”オオタケと、
粒ガムをひとつぶだけで食って、こう叱られる
“事務処理担当”オガワ――
のコンビでお送りします。

会社員を辞めて、店をやろうと思ったきっかけや、
開店までのあれやこれや、
そして現在に至るまでのお話などを
していきたいなと思っています。

高校生のときから10年にわたり、
Darlingこと、糸井さんの影響を
「勝手に」受けてきた人間の顛末?に
おつきあいいただければ嬉しいです。

2000-06-05-MON

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