へなちょこ雑貨店。 一寸の虫の五分のたましい物語。 |
第16回 内装その3 ―材木だってじぶんたちで塗るのだ 毎度ご来店ありがとうございます。 今年の夏はどこにも行けませんでしたが、 暑いのにはもうあきあきなので、 早く秋になってほしい今日この頃。 さて、床の鉄板を敷くだけ敷いたら とっととジャンクヤードをあとにしたわたしたち。 それからまた10日ほどはバイトのみの日々を過ごし、 今度は日曜日を利用してペンキ塗りです。 ある朝、材木がわたしの実家に届く予定になっていました。 届いた材木を見たとき、わたしの思考はしばし停止。 「これは‥‥」。 わたしは大工さんが使うちゃんとカンナがけされた材木、 「角材」が届くと想像していたのです。 すべすべのお肌のものを。 しかし届いた材木はけばけばがあるし、 切り口もざくざくしていました。 なんてオトコらしい‥‥。 問屋さんのメモには 「未製材のため、少しサイズを大きめにしてあります」 のひとこと。 「これは、材木じゃなくて“木材”じゃん」 ああ、そうなんだ。 そういうものなんだ。 問屋さんから卸された木材を 大工さんがきれいにカンナがけして 材木(角材)にしてから使うものなのですね。 ほっほう。 いや、感心している場合ではありません。 ペンキ塗りの予定は今日しかありません。 オオタケとの協議の結果、 あまりにけばけばしてるとこだけカンナで削って あとは「味」ってことで、このまま進行! ということにいたしました。 ガレージふうだし。 2m以上の大物を含む75本もの材木を 1日で塗ってしまおうというこの日、助っ人が4人。 わたしの以前の会社の同僚シカちゃんと、 N氏に会ったときに冷静な判断をしたデザイナーK、 材木問屋の娘御、そしてわが母。 11月も半ば。 季節は晩秋。 冷たい空気の中での「水」仕事。 そしていっこうに乾く様子のない材木あらため木材。 翌々日にはジャンクヤードに搬入する手配を 済ませているため、急いだのなんのって、 今見ると塗れてない箇所そこかしこ。 それもまた「味」ってことでひとつ。 翌々日の火曜日、理解ある派遣先に恵まれていたわたしは バイトを休んで、壁への木材の貼り込みの決行です。 この日のメンツは無償の棟梁ゴチョウと 意外な助っ人シカちゃん。 なにゆえ意外かというと すげえかわいいのにチカラ持ちだから。 わたしでは太刀打ちできない材木を、 彼女は切って切って切りまくる。 問屋さんがご好意で「大きめ」にしておいてくれた材木を 未製材のまま使用することにしたため、 当初の予定よりすべてのサイズがでかい。 棚用の板は多少大きくてもいいとしても 壁用のものは天井をつっついてしまうので、 30枚に及ぶ板をすべてカットする必要がありました。 それのほとんどを彼女が切ってくれたのです。 それらをはじから順に、材木の厚さを交互にして 貼り込んでいきました。 もとの壁の色が真っ白でしたので それが見えないように隙間なくきっちりと。 その時ちょっと不安があったんですけど、 コトバにはしませんでした。 「どうもまだ湿っぽいんだよな、材木が」。 左の、みょうなウエスタンシャツがゴチョウっす。 とにかく壁を貼り終えたところで 1999年のうちに出来ることは終了し、 ミレニアムイヤーを迎えるのでした。 そして思わぬ事態が わたしを待ち受けていることを知るのは、 年明け早々1月8日のことでした。 じゃじゃーん。 (つづく)
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2000-09-07-THU
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