これは、一冊の本というか、
ホームレスの人たちが販売する「雑誌」なんです。
本屋さんにも売っていなくて、
ホームレスの人からだけ、買うことができる雑誌です。
はじめて買ったのは1年くらい前のことでした。
自宅の最寄り駅の前で、雑誌を掲げて立ってるおじさんに、
「これなんですか?」と尋ねてみたんです。
そしたらおじさん、
「自分はこれを200円(現在は300円)で売っております」
「じゃあください」って、買って、読んでみたら、
売り上げの55%は販売者の収入になります、
というようなことが書かれてあったんです。
「へぇー、こういうのがあったんだ」と驚いて、
それから毎号買うようになしました。
ボランティアじゃなくて、お金をあげるんじゃなくて、
ホームレスの人に仕事を提供するっていうのが
いいなぁと思って。
雑誌の内容もおもしろいんですよ。
薄いんですけど、ぎっしり情報がつまってて。
有名人のインタビューとかもあるし。
わたしが好きなのは「人生相談」の記事なんですけど、
これ、ホームレスの人が一般の人の悩みにこたえるんです。
「息子が嘘をつくようになりました(34歳・主婦)」
「貧乏ゆすりがとまりません(42歳・サラリーマン)」
みたいな相談に、
「そんなん気にせんとったらええねん」ってこたえたり。
でっかい人だ!って読んでいて、
すごいあたたかくなるんです。
わたしがいつも買っているおじさんは、
自分で用意した透明のビニール袋に一冊ずつ入れて、
とてもきれいにして売ってくださるんです。
口下手なかたで、
「きょうは暑いですね」って話しかけても
「‥‥ああ、ですね」くらいしか言ってくれないんですけど
「ありがとうございます」というひと言には、
すごい伝わってくるものを感じます。
あのおじさん、
いつアパートを借りられるようになるのかな。
私みたいな人間が少しずつでも
応援できているかもしれないことが嬉しいです。
それまで応援したいなって思っています。
ほかの場所でも売っているかたをみかけて、
「ごめんなさい、もう買ってるんです」と、
素通りするのが心苦しいんですけど‥‥。
『ビッグイシュー』を売っている場所は、
ホームページに紹介されています。
みなさんも、ぜひ買って、読んでみてください。 |