HARUOMI HOSONO DREAM DIARY
タヌキの神様
イラストレーション:永田祐一郎 from ほぼ日マンガ大賞
※以下はテキストのみのバージョンです。

夢を見た・・・

塔の或る風景を求め、
横浜方面に向かって国道を延々と歩いていた・・・
・・ような走って行ったような、
どっちでもない、不思議な方法で進んで行った。

しかしいつのまにか見知らぬ街に迷いこんでしまう。
どうやら横浜のどこかの区に迷いこんだらしい。
騒然とした露店市場を人々が行き交う、
しかし居心地の良い町だった。

生活の空気に煙る街の向こうに、
一種異様な建築物が見える。
目的のものとは違う塔だ。
それは街には似合わない、バリ島の仏教寺院だった。

そこまで歩いていき、重い扉を開けて中に入って行くと、
外の暑さとは裏腹に冷気が漂い、
伽藍として誰もいない。
祭壇の前に記帳書があり、近寄って見ると
『ボストン』と書いてある。
かつてその寺にいたらしき、
バリ島の聖者らしき肖像が表紙だ。
フーン、なんだろう??
その聖者はここの寺から
米国のボストンに出向いて布教したらしい。

何も訳がわからないままそこを出て、
もと来た道を引き返すが迷う。
大雨に会い、大量の雨水に飲まれていくと
いつのまにか大河の中だ。
ぼくは豆粒のような白い立方体となって漂流している。

このまま流されていけば
元の出発点に戻れる確信がある。
だが川が大きくカーヴするところで、
予想外に流れからはずれてしまう。

元の自分の姿に戻り、川べりのビルに駆け上がる。
誰もいない部屋に入っていき、
そこの窓から大河を見下ろすと、
濃紺の水が滔々とした激流となり、
まるで怒濤のベルベットの様だ。

そこに飛び込もうと思うが、本当に水だろうか。
水なら飛び込めるが不安になる。
意を決し、窓から川へとジャンプした。

水だった。
気が付くと腰まで水に漬かった車の中。隣に女性。
ドアを開けると水が流れ落ちる。
助手席に回りドアを開け女性を助ける。
彼女はホっとしたせいか服を脱ぎ始め・・・
「ハアハア・・・」と言い始め、
・・・以下聞き取り不能・・・
「アァ、」「ウフン・・・」

(2000/07/01)
解説
この夢はかつて自分のホームページに掲載したものだが、
細部を思い出してさらに詳しくリライトしてみた。
この夢日記に連載する一連の夢は、
結構細部まで覚えているものが多い。
「歩いていくような浮いていくような歩行」は、
よく見る「低空飛行」に近い、心地よい体感がある。
横浜の見知らぬ街はバリのデンパサールのようでもあり、
アセチレンランプの匂いや、
食べ物を焼く煙などで濃密な空気だった。
「塔を探す」のは意味深な象徴なんだろうか・・
こういう異国的な仏教色の夢は前にも見ている。
結局は下ネタの欲求不満なんだが。

このごろのハローミ
大雨、大渋滞、花火大会、大停電・・・と、
このところ「大」のつく大ごとが続き、
世の中は大わらわでした。
ぼくは大人なので大概のことは大丈夫ですが、
大津波や大地震なんかは
きっと大混乱で大慌てだなあ。
大分つまんなくなったのでこの辺で・・・。



2006-08-17-THU
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