HARUOMI HOSONO DREAM DIARY
タヌキの神様
イラストレーション:永田祐一郎 from ほぼ日マンガ大賞
※以下はテキストのみのバージョンです。

夢を見た・・・

見知らぬ町を、
大きなラタンのケースをひきずって歩いていた。

煙草の販売機を探すうちに坂を登っていくと、
市場のような、床の汚れたラーメン屋に
迷いこんでしまった。

店主がぼくに「とうとう来たか・・・」というような、
思い入れたっぷりの目配せを浴びせかける。
妙に不安な気分だ。
ここはどうやら美味しくて有名らしいのだが、
ラーメンを食べに来たわけではないので、
視線を感じながらも店の中を通り過ぎ、
外に出てしまった。

そのうち見知らぬ仲間が合流する。
仲間なのにまったく見覚えがない人たちだ。
彼等と誰かの知人の家に行くことになった。
しかしそこでは何も始まらず、無為に時が経つ。
帰りたい。

だが歩いて帰るにはもう疲れ過ぎていた。
そこにいた中年の男が車で来ているというので、
何処まで帰るか尋ねるてみると、
白金に近いことがわかった。

乗せてくれる様お願いすると、
その男は条件として首にキスをするよう望む。
嫌だが仕方なくする。
吹き出物だらけの首。
辺りは大きな蛾があちこちで
ブンブンと羽音をたてている。

(2001/03/03)
解説
イヤな夢だったけど、童話のようなムードも漂っていた。
店の人が目配せするのは、現実によくあることだ。
多分その人は僕が何者かを知ってるんだろう。
だがその目には「とうとう来たか・・」
という思い入れがあるので圧迫感がある。
「いやいや、たまたま入ってしまっただけなんだけど」
という気力のない動作で対応するしかない。

中年のオッサンの首に・・・
ああ、考えるだけでもオゾマシイ。
ああ、蛾が誘蛾灯にひっかかって
ブンブン羽音がする・・・。

このごろのハローミ
これはすごい! この劇画!
インパクトってこういうもの?
本当にこんな感じでイヤ〜な夢でしたが、
この絵を見た時大笑いしてしまいました。

ところで先日、この夢日記を見ている人から、
面白い「発想」だと言われました。
イエイエ、これは発想したんじゃなく、
実際見た夢をそのまま書いただけなんです。
見たままを書くのは全然苦じゃないし、
発想もいらない。
しかしこの連載を始めてから
夢をあまり見なくなりました。


2006-11-09-THU
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