HARUOMI HOSONO DREAM DIARY
タヌキの神様
夢を見た・・・

日本映画のナレーション録音現場にいた。
映画のシーンに関係なく、
ずっと捨てぜりふを怒鳴っていれば良いという仕事。

「はい、じゃあ適当に怒鳴ってればいいんですね、
 はい、では・・・
 『なんなんだあコノヤロー、
  ばくゥア(馬鹿)じゃねえのかあ?!
  オメエ、な、なにいってやんでえ、
  しんじらんない!
  ジョ、ジョーダンじゃねえよ、
  もっぺん言ってみろってんだ、
  おらあ はがまた・・』
 あ、いけね、なんでなまっちゃったんだろ・・・
 すみませ~ん、もう一度お願いします・・・」

というような感じで怒鳴っていたが、
ハっと思い出した。
そういえばこのナレーションのための
メモがあるはずだったのだ。
スタッフに探してもらうが見当たらないので、
自分で探しにいく。

歩いていくと、そのオープン・スタジオは
もうひとつのステージに繋がっていた。
そこではのんびりしたマジックショウが演じられている。
向こうではさっきのぼくのナレーションが
プレイバックされていて物凄い音だ。
マジック・ショウの音がかき消されそうだった。
こんなことでいいのだろうか。

奈落から上に上ると劇場の外だ。
寂しい人通りのない埋め立て地のようだった。
すると劇場から妖艶で派手な女性が
ロシア系の紳士と出てきた。
笑顔で別れの挨拶をしているその人こそ
プリンセス天功だった。
外国人に見送られて近くのホテルに歩き出す。
ぼくも同じ方向に行くので、数歩先を彼女が歩く。
この場合声をかけるべきかどうか悩む。

ウ~ム。
声をかけるべきか、かけないべきか、
はたまたかけるべきか・・・
プリンセス天功は数歩後ろのぼくを一瞥もせず
歩いて行ってしまった。

(2003/12/22)

イラストレーション:佐竹奈々
解説
プリンセス天功は謎めいている。
そんな印象が夢に出てきたんだろうか。
ハリウッド・スターと婚約したようなことを言っていたが、
その後音沙汰がない。
その昔、「北」に招かれたという話も
ロマンをそそるものがあった。
もし北に呼ばれたら行っちゃうかもしれない、という
知人の音楽家がいる。
ここ日本では庇護のヒの字もないからねえ、
我々軽音楽家は・・・。

このごろのハローミ
第一期に提出した20話の最後に
この「プリンセス天功」が来たか・・・。
でも、夢に絵をつける都合上、
順番は偶然でしかありません。
さてと、第二期の20話がどうなることやら、
一週間お休みした後、次も色々と
バカバカしい夢が掲載される予定ですが、
なにはともあれ絵が楽しみです。

先週は六本木のSuper Deluxeに
コメディ・ショーを見に行きました。
そこに出てきた清水宏という
クレージーなコメディアンは衝撃的で、
かつて味わったことの無いテイストが
あとをひきそう。


2006-11-23-THU
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