長野 |
この絵本(「空を飛んだユラール」)は、
小さくてかわいいし、印刷もきれいだし、
糸井さんの原作だし、わたしにとっても、
とてもうれしい作品になりました。
商品をご購入いただいた方にしか
ご覧いただけないのが残念なくらい。
お仕事でお会いする方には、
かならずと言っていいほどご覧いただいてるんですが、
みなさんとても喜んでくださいます。
絵本「空を飛んだユラール」 |
―― |
それは、ぼくらもうれしいです!
では、新聞のお仕事も、絵本がきっかけで? |
細山田 |
その前に、「クロワッサン」のムック本の
イラストをお願いしたんですよね。
クロワッサン特別編集「暮らしの形を考える」
(マガジンハウス刊)
長野さんは、実際にある住まいを、
「飛び出す絵本」みたいな仕立てで
描いていらっしゃいます。
家の内側までちゃんと描いてあるんですよ! |
―― |
おお、これもなんだか、
とてもユラールっぽいテイストですね! |
長野 |
このお仕事をさせていただいたのが、
ちょうどユラールの絵本ができあがったころで、
その世界観みたいなものが、
自分のなかに、つよく残っていたんです。
「空を飛んだユラール」の冒頭ページ。
さきほどのイラストと、なんとなく雰囲気が似ていますよね。 |
―― |
新聞のクリスマスの絵では、
ユラールの頭のなかにあるイメージが
空にあふれだして、駆けめぐっているシーンが
もとになっていますね。 |
細山田 |
ええ、もうこのままの雰囲気がほしくて、
「これでお願いします」って(笑) |
長野 |
ほとんどおまかせで描かせていただけて、
だから、すごくユラールの世界に近いです。 |
―― |
ユラールの世界の特徴ってなんでしょうね? |
細山田 |
やっぱり、フランスとか、
ヨーロッパ的なところかなあ?
ぼく自身、ヨーロッパのものが好きで、
長野さんの絵は、そっちのにおいがして、
いいなぁと思うんですけど、
ご自分でも意識してるんですか? |
長野 |
とくにヨーロッパとか、
外国っぽくしようっていう意識はないんです。
色の感じとかかな?
なんなんでしょうねえ? |
細山田 |
うーん、気がぬけたところとか‥‥(笑) |
―― |
そう! 気がぬけてますよね!(笑) |
長野 |
本人は気を張って描いてるんですが‥‥(笑) |
細山田 |
ほんとに?(笑)
でも、まあ、そこがいいんです。
ぼくは、こういう戦前の吸い取り紙を、
なんとなく集めてるんですけど、
これも力がぬけてて、いい感じですよね。
細山田さんが集めている、ヨーロッパで
戦前に使われていた、インクの吸い取り紙
こういうなんでもない、生活に密着したものが
ちゃんとデザインされている文化って、
いいなと思ってて。
ユラールの絵本とかを見てると、
そういうことに相通じるものを感じます。
新聞も、各家庭に届くってことで、ある意味、
自然に生活のなかに入り込んでくるものですよね。
そういう公共性のあるもののデザインって、
ぼくはとても大事だと思っているんですよ。 |
長野 |
うんうん。(深くうなずく) |
―― |
長野さんは、ユラールを描いたことで、
変わったことってありますか? |
長野 |
今までの作品は、
色数をしぼった作品が多かったんですが、
カラフルなユラールの世界を描いたことで、
表現の幅が広がったと思います。
それから、
作品について感想をいただけたというのは、
ふだんそういうことはあんまりないから、
とてもうれしくて、励みになりました!
「ユラールの絵本を子供が気に入って、
なぜか食事の時も持ってくる」
なんていうのは、もう、すごくうれしいですね。
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