楽しきこともなき人生に、 いかがですか、ご馳走は。  堺雅人さんと、満腹ごはん。
第15回 なまじ役者なんかやってるから。
── いよいよ最後の品です。
名残惜しいですが。
糸井 はい。
飯島 レモンパイです。
もうちょっと固まる予定だったんですけど、
すこし緩かった。
でも、緩くてもおいしいんで、
食べてみてください。
糸井 ありがとうございます。
ああ、これが最後の。
糸井 タコ乗せます(笑)?
(笑)台無しじゃないですか。
糸井 今、行っちゃうべきかな。
── (こんなに食べといて、いまさら悩むんだ‥‥)。
糸井 行っちゃうべきかな。
── 行ってください。
糸井 はい。
いただきまーす。
ああー、食べちゃう。
誰か俺を止めてくれ。
うめえ。
糸井 うめえ。
これ、レモンが、しっかりレモン。
飯島 思い切ったレモンの量ですよね。
── たいへん酸っぱくて、甘くて。
思い切ってますね、これ。
飯島 レモンパイはちょっと酸っぱいぐらいのほうが。
私、チーズケーキに
ほんのりレモンとか入れるの嫌いなんです。
糸井 いいと思います。
これぐらい酸っぱくないと。
── しかも、濃厚な旨みがあります。
いやぁ、ちょっと‥‥。
(完食)
── あっという間、飲むように行かれましたね。
俺、今年入って、食に対して、
初めて本気出したかもしれないです。
一同 (笑)。
本当はこれぐらい──
糸井 やる男だぜ、と?
はい、やる男なんですけど。
糸井 (笑)。
飯島 作りがいがありますね、
糸井さんも堺さんも。
あぁー。
糸井 むふふふふふ(笑)。
なまじ役者なんかやってるから、
食べちゃだめだったりするんですよね。
糸井 (笑)そうだよね、そういうことはありうるよね。
これはどうやってつくっているんですか。
飯島 卵とレモンと水とコーンスターチを
火にかけてとろみをつけて
冷やしたのをパイの型に入れて、
生クリームを緩く、さっとかけちゃうんです。
レモンどれくらい使ってるの?
相当使ってるように思えます。
飯島 1ホールで、レモン2個です。
あ、2個? そんなもんなの?
糸井 甘いものと一緒になったレモンは結構効くからね。
ああー。
山の多い、山脈のような食事だったね。
最初の納豆コールスローでまず攻撃を受けてね。
休ませてくれなかったね。
だから、あの切り干し大根がほぼ奇跡の、
奇跡の切り干し大根でしたね。
敬遠気味の。
糸井 そうですね。和が入ってきたんですね、あそこね。
飯島 こちら、イタリアで覚えた大人のカルピスです。
糸井 いただきます。
(飲む)あぁー。
あぁー。
糸井 杏仁レモン?
飯島 そうですね、そんな感じですね。
アーモンドシロップとレモンを
水で割っているんです。
糸井 体重、2、3キロぐらい太った気がするな。
マックスだわ、胃袋マックスだ。
糸井 俺、俳優じゃないからよかった。
本当ですよ。
糸井 気が遠い。血が胃に。血が胃に。
血が胃に。
糸井 これ、家ならもう寝てるね。
寝てますね。とても真っ直ぐいられません。
このごろロケ弁ばっかりで、
いかに貧しい食生活だったかっていうのが
よくわかります。
糸井 嬉しくはないよね。
ロケ弁毎日食ってると、そういう人になるよね。
どういう(笑)?
糸井 ロケ弁みたいな人。
そういう人ですか。
糸井 俺はやっぱり食うものから自分ができると思うから。
あぁー。
糸井 「ロケ弁みたいな人だね、彼は」っていう(笑)。
「あなたって、ロケ弁みたいな人」。
言われたくない!
ていうか、『LIFE』のレシピ、
1個ちゃんと作ってから
この場に来たかったんです、本当は。
だけど、結局作れないまま。
ぼくの携帯電話に食材リストが
2つ分ぐらい入ってるだけで。
糸井 あぁー。なるほど。
はい。どこかで、と思ったんですけど。
飯島 一番最初はやっぱりナポリタンですか。
ナポリタンから行きますか。
── しょうが焼きもいいですよ。
飯島 あ、しょうが焼きのほうが簡単ですね。
糸井 しょうが焼き、いいかもしれない。
しょうが焼きね。
糸井 びっくりし方が激しいですよ、しょうが焼きは。
そうですか!


(つづきます)

2009-09-04-FRI


(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN