飯島食堂へようこそ。おでかけ編 キッチンツール選び、ごいっしょに 重松清さんと、かっぱ橋。
かっぱ橋道具街とは
LIFE

その11 46歳、はじめての趣味@合羽橋珈琲店
重松 俺、器用な方じゃないから、
ピーラーでどれだけ楽になったか!
料理のハードルが下がったよ。
野菜の皮むきがさ、これで済むんだもん。
飯島 そうですよね。ニンジンの皮、
私は結構、包丁でむくんですけど、
アシスタントの子とかは
ピーラーなんですよ。
重松 そう。
飯島 包丁でもむけますよ?
重松 ううん、もう俺、
ピーラーなかったら何もできない。
── ピーラー、速いですし。
重松 速いしね、
ハードルを低くするところは低くしてもらって、
尚かつ、深みに行くと幾らでも深い世界が
待ってるよっていうのが
いちばんいいんじゃないかな。
飯島 いいですね。私、さっきプレゼントに
千切りにできるピーラーを入れたんですけど、
普通の千切りにできるものは
ちょっと刃が切れ味悪くて
押しつぶすみたいなのが多いんですよ。
いまいち、刃がちゃんとしてない。
私が買ったのは、直角に刃が付いてるピーラーで、
それでほんとにやるとニンジンとかが
きれいな千切り、
包丁で切ったみたいな千切りになるんです。
だから味噌汁なんかに根菜を入れるとか、
いいですよ。
重松 昔に比べてやっぱりよくなったんじゃない、
いろんなものの段取りとかもさ。楽になってる。
楽しんで料理やると。
飯島 はい。楽しんで料理やる。
重松 すごい楽しいね。忙しいときはね、
俺は大抵電子レンジクッキングなわけよ。
でも、初めて趣味ができたんだ。
飯島 はい。
重松 46年生きて初めての趣味なんだよ。
飯島 素晴らしいです。
重松 麻婆豆腐とかさ、作るわけじゃない。
いろんなスパイス足して。
でも、S&Bに負けてる(笑)。
── 麻婆豆腐、いずれ『LIFE』でやりますんで
楽しみにしててください。
重松 クックドゥとかに、
なにかプラスすればいいのかなとかさ。
飯島 クックドゥは、かなり完成度高いですもんね。
重松 完成度高いよね。
鶏の唐揚げだってさ、
唐揚げ粉の持ってる完成度の高さって
大したもんだよなあ。
飯島 自分ではちょっと何か
物足りないものになったりするとき、
ありますもんね。
重松 ひとわたりやってみたわけよ、
いろんな料理をね。
で、和食は諦めたの。
でも中華ならさ、わりと勢いで
持って行けるじゃない。
ところがどうも、せっかく作ったから
熱いうちに食ってほしいわけ、俺としては。
で、かみさんや娘にさ、
「さあ食え、さあ食え、何やってんだ、
 早く食えよ」って言ったらね、
すごい嫌われてさ‥‥。
一同 (笑)。
重松 でね、ちょっとね。
飯島 分かります、その気持ちは。
重松 中華がアウトになってね、
最近はサラダというですね、
また1つの可能性を。
飯島 ああ、女性も好きですし。
重松 俺の体にもいいし。
でね、今ね、アガーってあるじゃない、
ゼラチンみたいなの。
あれでね、ドレッシングを
ゼリー寄せにして
食べたりとかしてるの。
飯島 へえ、すごーい!!
── お洒落!
重松 いろいろとね。
飯島 それは喜ばれてます?
重松 うん、わりとオッケー。
飯島 よかった(笑)。
重松 鰹出汁を固めてみたりね。
── 結構オリジナルですね。
重松 そうだよ。
一同 すごい、すごい。
重松 こういうオヤジの悪いところはさ、
しばらくきっちりした
基本からやりゃいいのに、
途中から我流が入って来るところだ(笑)。
このまま謙虚に、謙虚に、
まさにレシピ通りにね、
謙虚にやってればいいのに、
途中でだいたいこんなもんだと、
足しちゃうんだ、余計なことを。
でも楽しいよ。
── もし失敗しても、
次、またやればいいんですし。
飯島 そうですよ。
重松 今日はね、トマトジュースをアガーで、
ぷるんとさせたのをつくってきたの。
もうそれだけで十分美味しいんだよ。
飯島 おいしそう!
重松 とにかくね、俺ね、思った、
かっぱ橋って、来たらね、
興味がどんな方向に行っちゃうのかで、
その人のことが分かる気がしてきたよ。
飯島 ああ。
重松 だって、今、俺、しみじみね、
何で俺、「ひとり鍋」っていうものに
こんなに激しく反応したんだろうと思うと、
もしかしたらね、心理的にさ、
いろんなものが分かるかもしんないじゃない?
看板とかね、あのサンプルに
興味が行ってしまう人もいるわけじゃない?
なーんか「合羽橋占い」って
できそうな気がするよ。
飯島 ねえ、いいですね。
重松 うん。
── 興味の先、僕は包丁でした。
刃物、特に和の刃物。
あの世界、ちょっと知りたいなと。
重松 刃物に行っちゃうのはさ、
欲求不満があるんじゃないか?
飯島 ああ、ありそう。
── そんな、言わないでください。
重松 いや、でもほんとね、かっぱ橋は、
東京に出て来て28年で初めて歩いた、
楽しい魔界だね。
入り出すとね、ちょっと3日ぐらい、
居続けそうな気がする。
ほんとに。ありがとうございました。
飯島 こちらこそ、ありがとうございました。
── また何かご一緒させてください。
飯島 ぜひー。
重松 すごい楽しかったです。
一同 ありがとうございました!

(重松清さんと飯島奈美さんと歩く
かっぱ橋道具街、これでおしまいです。
ちなみに、重松さんが「結婚した担当編集者に」と
買っていったのは、新幹線のかたちをした
お子様ランチのプレートでしたよー)

‥‥と『ほぼ日』にレポートしてもらいましたが、
新幹線のお子さまランチプレート、買ってはみたものの
「早く子どもをつくれ、という
 セクハラ発言になってしまうのではないか」と気づき、
思いなやんだすえに、お子さんが生まれたばかりの
担当編集者にプレゼントしました。
よって、新婚編集者へのプレゼントはまだ。
近々、また合羽橋に行ってきます。
自分のための一人用の鍋も、もちろん、狙います。
(重松清)

訪れたお店はこちら

合羽橋珈琲
東京都台東区西浅草3-25-11
http://www.kappabashi.or.jp/shops/60.html


2009-12-04-FRI


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