その2790
すべての子どもたちは
美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
ところが、その、燃える命ともいえる名前は
しばしば他者によって、あっさりと
「言いまつがわれて」しまうのです。
たとえば、ほら、こんなにふうに。
さぁ、今日は「名前の言いまつがい」を
集めてお送りいたします。
どうぞ、のんびりお楽しみください。
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当時わたしが
高校に入学が決まったときのことです。
初めての電車通学でワクワクしながら
母と定期券を買いに行きました。
タッチパネルで名前を
入力するやつだったのですが‥‥。
できあがった定期券をよく見ると、
「モラシタ」の文字が。
わたしの苗字は「森下」です。
恥ずかしい打ちまつがいをした母のせいで
1年間、モラシタ定期で通学しました。
(母は爆笑)


名前のまつがいです。
うちの娘は、
「梨央」と書いて「リオ」といいます。
小学校の入学時の書類が
届いた時のことだったと思うのですが、
性別が「男」になっており、
名前がいつのまにか
「利夫」になっていました。
「としお」と読むのでしょうか?
どこで間違えられたのだろう‥‥
確かに字は似ているが‥‥。
(大)


私の名前は
「洋子」と書いて「ひろこ」です。
いつも、「太平洋の『洋』の字です」
と説明していました。
あるとき同じように説明すると、
相手は電話の向こうで
「太平洋‥‥」と少し腑に落ちない様子。
後日届いた封筒には、
「平子」様と。へ、へいこ??
「太平洋の『平』の字」で
「ひらこ」って、あなた‥‥。
(次からは「インド洋」)

私の名前は「敦子」といいます。
電話で説明するのがとても難しいアツコです。
ここ何年も試行錯誤しております。
「敦盛のアツ」「中村敦夫のアツ」は、
現在、ほとんど使われておりません‥‥。
その代わり「古田敦也のアツ」が
少しメジャーになりました。
これらが駄目だと
「敦賀のツルの字」「敦煌のトンの字」
と説明しますが、それぞれ3回に1回は
「ツル子」「トン子」になります。
どう説明すればいいのか、
同じ名前の方がいたらお知恵を拝借したいです。
(右側がボクニョウの敦です)

私の名前は「イクエ」といいますが、
妹の長女が言葉をおぼえたての頃
私の名を「アキヨ」とおぼえてしまい、
以来、妹一家は、
今年成人した長女を筆頭に、次女、三女とも
私を「アキヨ」と呼びます。
その都度
「イクエですからね!」と言い続けるも、
先日、妹からの手紙に
「アキヨちゃんお元気ですか?」
との書き出しで、もう訂正するのあきらめました。
(もう改名しようかな)


バツイチの私は旧姓に戻さず
職場ではそのままで通していました。
が、最近再婚が決まり、どのタイミングで
新姓に切り替えようかと考えていたら、
電話応対でつい、
一番最初の名字を口走ってしまいました。
もちろん今の職場では誰も知らない名字です。
(三度も変わるともうどうでもいい)

どんな「言いまつがい」でもいいのさ。
それを送っちゃってくれたまえ。
そうするためには、まず、
「投稿する」ボタンを押したまえ。
そんでもって、身のまわりの「まつがい」を
ささっと書いちゃってくれたまえ。
あとは送信ボタンを押したまえ。
それで終わりさ。簡単なことなのさ。

イラスト:しりあがり寿
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2011-10-05
HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN