新着「言いまつがい」〜その891〜
すべての子どもたちは 美しい名前を持っています。 ひとりに、ひとりずつ、美しい名前を。 ところが、その、燃える命ともいえる名前は しばしば他者によって 「まつがわれて」しまうのです。 ああ、さまざまなパターンで 「まつがわれて」しまう名前よ。 ここにその哀れなエピソードを紹介しよう。
私の名前は栄子です。 初めて行った美容室から 後日案内のはがきが来ました。 そこには「巣子」。 どうしたらそうなるの? っていうかなんて読むの? (苗字も結構珍しい)
私の名前は「絵美」といいます。 先日電話で説明するときに、 「絵画の絵に美しいで『絵美』です」 と言ったところ、 翌々日うちのポストには 「○○ 画美様」 宛ての封筒が‥‥。 かなりへこみました。 (がみ)
私の職場には 「トクダさん」と 「ハットリさん」がいる。 外からかかってくる電話に 月イチくらいの割合で、 「トットリさんお願いします」 とまつがえる方が。 どちらに取り次ぎましょう? (ハクダさんは居ないの)
猿渡さんと一緒に働くようになって 半年が経過しましたが、 未だに呼びかけるとき 「たるわさりたん」とか 「さるわさりたん」とか 言ってしまいます。 (なっちゃん)
大学生の時のこと。 我がサークルに、待望の新入部員が。 その名はモリナガ君。 会計のTちゃん、部員名簿を書きながら、 「えっと、モリナガくんは、 木が三つの森に、 永遠の永でいいんだっけ?」 モリナガ君、答えて 「いえ、モリは 『盛そば』の『盛』です」 それから一週間後、 久しぶりに遊びに来たOBの方が Tちゃんに質問して曰く 「モリナガ君って 新入部員が入ったんだって? 『モリナガ』って、 木が三つの『モリナガ』でいいの?」 Tちゃんは答えて、 「いえ、モリナガ君の 『モリ』はですね、 『盛そば』の『そば』なんですよ」 その後、盛永君は 「そば君」という あだ名で呼ばれるようになりました。 (つゆだく)
私の配偶者は昔、 文鳥を飼っていたらしいのですが、 歴代の全ての文鳥が 「ピーちゃん」と呼ばれていたそうです。 しかも、子どもが生まれて、 最高で7匹もが同時にピーちゃん‥‥。 「それって不便じゃなかったの?!」 と聞くと、 お父さんピーちゃん、 黒いピーちゃん、 白くておとなしい方の ピーちゃん、 などという風に区別をつけていたとか。 当時は「ピーちゃんが〜」と言うと、 「どのピーちゃん?」 と聞き返す会話が、家族間で ごく当たり前にされていたそうです。 ‥‥何かがまつがっている気がします。 (経理のおね→さん)
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