すべての子どもたちは美しい名前を持っています。
ひとりずつ、ひとつ、かけがえのない名前を。
ああ、しかし、なんということでしょう。
その、燃える命ともいえる名前は、
しばしば、他者によって、あまりにもあっさりと
「まつがわれて」しまうのです。
お届けしましょう、「名前の言いまつがい」特集。
どんな名前がどんなふうに?
それは読んでのお楽しみ。 |
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国定(くにさだ)さんという先輩がいます。
部の出席ノートに友達が大きな字で
「固定さん」と書いていました。
こていさん‥‥。
(か) |
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私の娘は「杏子」といいます。
彼女の祖父母(私の両親)が、
「享子」と書いてきたのは
まあ許しましょう。
もう一人の祖母(夫の母親)が
「呆子」と書きまつがってきたのは、
さすがにちょっと‥‥。
パーツはあっているんですけどね。
(賢い子を産んだと思っている母) |
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友人のお母様のお話です。
親戚の双子の兄弟の名前は、
「ひろき」くんと「もとき」くん。
しかし、彼女は自信を持って
「もときとふゆき、
はやくおいで~!」
と叫んだそうです。
(きのこ) |
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私の友人は「叶さん」ですが、
封筒に「汁」「叫」と
よく書かれていたそうです。
じるさん、きょうさんって
一体何人!? という気分です。
(綾小路)
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私の名前は「辻岡」といいますが、
うちの郵便受けには、
「述岡」「迷岡」
「途岡」などの
書きまつがいが届きます。
なかでも衝撃的だったのが、
「逃岡」でした。
(辻岡) |
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銀行に勤めていた先輩から聞きました。
「左井さん」という上司がいたそうです。
彼をたずねて来客が、
「シカさん、
いらっしゃますか?」。
受付嬢はすかさず笑顔で、
「サイならおりますが?」。
きっとお客様は、
「動物の名前」と覚えていたのでしょう。
受付嬢の瞬発力、さすがです。
(もも) |
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今から15年くらい前は
携帯電話が普及していませんでした。
当然、彼女に電話するのも家の電話です。
友人「井伊くん」が電話をかけたところ、
運悪くお父さんが出たそうです。
「どちら様?」と尋ねられたので、
「井伊です」と答えると
「名前も名乗れんヤツの電話は
取り次ぐことはできん!」
と切られてしまったそうです。
(たっきー) |
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仕事で松村さん宛てにメモを書いた。
しばらくして、帰ってきた松村さんが叫んだ。
「また間違ってる~!!」
すいませ~んと謝りながらみると、そこには
「村村さん」と書いてあった。
またということは以前にもまつがえたのかな?
と思いながら聞くと、おもむろに
机の引出しからごっそりとメモを‥‥。
そこには多数の「村村さん」に混じって
「松松さん」も‥‥。
おもしろいものはコレクションしているらしい。
恐るべし松村さん‥‥。
(まるお) |
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元彼の名前は「たかあき」。
新彼の名前は「たかゆき」。
で、普通に名前を呼ぶ時に、
「たかあき~」と、
名前をいいまつがってしまい
落ち込んでいる新彼に向かって、
もうまつがってはいけないと意識しながら、
謝ろうとして、
「ごめん。たかあき」と
くっきりはっきり言ってしまいました。
(二度と名前では呼びません) |
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私は以前、外国のクライアントを持つ
法律事務所で勤務していました。
ある日、ジェームス・ハリスンさん
という方から弁護士宛に国際電話が入り、
英語があまり話せない私はかなり取り乱して、
「ジョージ・ハリスン様
からお電話です」
とつなぎ、キョトンとされてしまいました。
(天国からの電話) |
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以前実家で飼っていた柴犬のゴン太くん。
毎年、春に保健所から
予防接種のお知らせのハガキが届きます。
宛名には明朝体で
「ゴンター」って‥‥。
どこでどう間違えて「ター」って
伸びちゃったのか、未だに謎のままです。
(イタ) |
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どのような「言いまつがい」であろうとも
受け入れる私たちがいるということを
どうぞ思い出してください。
投稿のやり方などご説明いたしましょう。
まずは下の「投稿する」ボタンをクリック。
そこにメールのウインドーが立ち上がったなら、
ことのあらましを簡潔につづり、
できあがったところで送信ボタンを押してください。
なんと、それだけで、OKです!
『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』も
どうぞよろしくお願いします。
イラスト:しりあがり寿 |