その1319
すべての子どもたちは美しい名前を持っています。
ひとりずつ、ひとつ。かけがえのない名前を。
しかしながら、その燃える命ともいえる名前は、
しばしばほかの誰かによって
あっさりと「まつがわれて」しまうのです。
そんなわけで、「名前の言いまつがい」特集です。
いやあ、いろんな「まつがわれ方」があるもんです。
どうぞ最後までのんびりお楽しみください。
娘が産まれて、親戚のおばちゃんが、
「まあ、かわいい。お名前は?」
「ありさです」
「かわいい名前ねー」
二ヶ月後、お祝いを持ってきてくれて一言。
「
みずき
ちゃん、元気ー?」
おばちゃんが今時の名前を
覚えようとしてくれたのがよくわかりました‥‥。
(観月ありさちゃん)
私が小学生のころ、新しく来た担任の先生が
名簿を見ながら出欠をとりました。
私の苗字は細田(ほそだ)なのですが、
その日は
「サイデン」
とまちがって呼ばれ、
しかも自分のこととしばらく気がつかずにいたために、
ずっと
「サイデーン」
と
連呼されてしまいました。
(サイデン&ガーファンクル)
息子の名前をきかれたので、
「しゅうです」と、答えたら、
「シチュー?」
と、聞き返されました。
最近の子供は、変わった名前が多いけどね、
シチューとは、あんまりだよと思いました。
(ずんこ)
前の職場での出来事です。
所長が書類に先輩の氏名を記入していました。
席から大きな声で、彼女に向かい
「○○さーん、
下の名前はどんな字だったかな?」
先輩も着席したまま、
「『美しい』に、奈良の『奈』に、
子供の『子』です!」
と、これまた大きな声で返しました。
しばらくして所長は、
「はい、書類書いたから」と彼女にそれを手渡し。
先輩はそれを見て、
「私、
美奈良
じゃありません‥‥」と悲しげ。
一部始終を聞いていた所員は大爆笑でした!
(怪獣ミナラの正体は美奈子先輩)
わたしの姓は
「小濱(おばま)」というんですが、
文字を見た人はたいてい
「
こはま
さん」と言います。
まあ面倒くさいんで
ハイハイって通しちゃうんですけど、
ある日、会社で業者に電話したとき
こんなやり取りが‥‥。
私 「おばまと申します」
相手「
おばら
さんですか?」
私 「いえ、お・ば・まです」
相手「え?
おばかさん
ですか?」
そんなわけないやろっ!
頭に来ていた私は
「あいうえおの『お』に
ばびぶべぼの『ば』に
まみむめもの‥‥
『み』
っ!」
‥‥そっちがまつがえるから
わたしもまつがえたぢゃないかっ!
(ちいさいはま)
自分の名前は一輝(かずき)と読むんですが、
小学生の時どこかの大学のO先生が
年に一度国語の授業をしてくださってました。
小学6年生の時NHKがその授業を取材に来た時、
いつも名前を間違えられる僕は
名前を間違えられた時の事しか考えてなく、
プロデューサーが「かずき君で良いのかな」と
自分の名前を確認してきたとき、
「
いっき
です‥‥あっ、かずきです」と。
まさか自分の名前を言い間違えるなんて
最初で最後であって欲しいです。
(相馬透)
高校のとき、マークシート形式の模試で
自分の名前をローマ字でマークした。
「○○テメエ」
という
喧嘩を売られてるような名前で結果が返ってきた。
ほんとは「トモエ」なのに、
マークをまつがえた‥‥。
(母音が全部eになってもた)
友達の結婚式の時、
祝辞電報を読み上げた司会者さん。
「
大工の、原 敏男
さんからの
祝辞、いただきました」
と半信半疑におっしゃいました。
一瞬の間の後、吹き出したわれらの円卓。
それは、「大工原 敏男(ダイクハラ トシオ)」
というわれらの友達からでした。
(職業は普通のサラリーマン)
息子が2歳の時、
近所に住んでいたアレックス君のことを、
何度教えても
「デラックス」
と言っていました。
つられて「デラックス」と呼ぶ子が何人かいました。
(ママはデラックスな感じでした)
名前にかぎらず、あらゆる「言いまつがい」を
私たちは来る日も来る日も募集しています。
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『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
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もはや知らない人などいないでしょう。
イラスト:しりあがり寿
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2007-09-25-TUE
© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN