すべての子どもたちは美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
しかし、その燃える命ともいえる名前は、
しばしば他者によってあっさりと
「言いまつがわれて」しまうのです。
たとえば、ほら、こんなふうに‥‥。
お届けしましょう、「名前の言いまつがい」。
どうぞ最後までお楽しみください。 |
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ある時、友だちの久仁子さんは
荷物を送ってもらうために
電話で自分の名前を説明していました。
久仁子の「仁」を説明する時に、
「ジンです。仁丹の『ジン』」
と言ったところ、届いた荷物には 「久丹子様」
くたんこ‥‥?
(ひとぴょん) |
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初めて近所の小児科にかかりました。
受付は、おばさんというより
「おばあさん」に近い女性。
「お嬢さんのお名前は?」と聞かれ
「かんなです」と答えたら、
ものすごくびっくりした顔。
「どんな字?」と聞かれたので
「ひらがなです」と答えたら
「最近の子供はみんな変わった、
凝った名前が多くてね~」
と言いながら、
手元のカルテにこう書いていました。
「○○ぱんだ」
かんなですって!!
(パンダの母) |
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私の友人は「イデ ヤスヨ」さんという。
彼女が平仮名で名前を書くと、
「いでやすよ」を 「いやですよ」と
読まれることが時折あるらしい。
そんな名前の人がいるわけないじゃんっ!
と軽くキレてしまうとか。
(ハヅキハハ) |
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私は辻田という姓なのですが、
なかなか伝わりづらい苗字で困っています。
電話で名を名乗っても、
一度で聞き取ってもらえたためしはなく
「ふじたさん?」
「つじたです」
「はい、ふじたさんですね」
「たちつてと! つーじーた、です」
「つちださんですか?」
「つじたですっ」
というやり取りが延々と続きます。
相手が訛ってたりすると
「つじた」と「つちだ」の
発音の区別がつかず泥沼化します。
宛名を間違われることも多く、 「述田」とか「迷田」宛の
郵便物が届くことが珍しくありません。
(ありふれた字なんだけど) |
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結婚して「鍛治梁」という
超レアな苗字になりました。
「かじやな」と読むのですが、
正確に呼ばれたことは一度もありません。
買い物するときとか、電話かけるときとか、
相手に名前を伝えることって
普段の生活でけっこうありますよね。
たいてい 「かじわら」「かじやま」
などと返されることが多く、その度に
「あ、それ、か・じ・や・なって
読むんですよ~」と訂正していました。
でも、この前ダンナと食事に行ったときのこと。
人気店のため、入り口のところにあった
名簿に名前を書いて待っていました。
そろそろ私たちの番かなあと思っていたら、
店員のお姉さんから明るい声で
「2名でお待ちの‥‥えー、
『だんじはり』様~、
たいへんお待たせいたしましたぁ~」
と声がかかったではないですか!!
かなりの大声だったので
周りの人たちにも当然聞こえており、明らかに
「誰? めちゃ変な苗字!」と思ってる顔つきで
皆さんきょろきょろしていました。
顔から火が出そうな私たち。
今度からこういう時には漢字じゃなく
カタカナで名前を書こうとかたく決意しました‥‥。
(独身時代はメジャーな苗字) |
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ウチのネコの名前は「ぼんた」と言います。
私の名前は「えりこ」です。
そして母はいつも 私の名前とネコの名前を
間違えます。
「こら! えりこ!
またこんなところにゲロ吐いて!」
「えりこ、食べなさいっ!
ワガママ言わないで
出されたものを食べなさい!」
「もう、えりこったら、
夜中にフラフラと外を出歩いてるから
ケンカに巻き込まれるのよ!」
「ま~、えりこったら、
今日は立派なウンチねぇ!」
と、近所に聞こえるぐらいの大声で言います。
きっと近所の人に
「あそこの娘さんは親の作ったものにケチをつけ、
夜中に出歩いてケンカばかりし、
家の中でゲロを吐いて立派なウンチをする」
と思われているかも‥‥。
(えりこ) |
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英語の授業中、騒いでいたA君に先生が、
「ちょっとっ! ケン!」
と英語の教科書に出てくる
登場人物の名前を高らかに叫んでいた。
(y) |
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名前にかぎらずあらゆる「言いまつがい」を
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