その1610
「もしもし、○○さんのお宅ですか?」
「いいえ、違いますよ」
「失礼しました」ガチャン、ツー、ツー。
これが一般的な間違い電話といわれるものですが、
我々が特集する「まつがい電話」は
ひと味もふた味も違います。
なにしろ、展開がドラマティック!
事実は小説よりもストレンジ。
最後まで、どうぞのんびりご覧くださいませー。
昨日かかってきたまつがい電話です。
帰宅したら留守電にメッセージが4件。
いい感じに酔っ払ったおじさんからまずは1件。
「もっしもーし、
ヒデオさんです。
イモ届いたよ、イモ。ありがとね」
‥‥どこのヒデオさん?
しかもうちはイモなんて送ってないし。
2件目。
「
ども! ヒデオさんです。
イモ食ってみたよ。
うまかったよー、ありがとう」
食べたらしいよ、イモ。
おいしかったようだよ、よかったねえ。
3件目。
「まだ帰ってないの〜?
ヒデオさんだよ。
あんまり遊び歩いてんなよ。んじゃーまた!」
まだかけてくるつもりなのか? ヒデオさん‥‥。
4件目。
今度はやけに神妙な声で、
「あのー‥‥
さっきから何度も何度も失礼しました。
えー‥‥今日兄弟からイモを送ってもらってですね、
そのお礼の伝言を入れた者です。
市外局番を間違えてしまったみたいなんですね。
お宅様には本当に失礼いたしました。
伝言は全部消しちゃってください。
それと‥‥(ピー)
」
今度は途中で切れていました。
ヒデオさんからのメッセージはそれっきりです。
最後、何を言いたかったんでしょう。
(謎めく男だ、ヒデオさん)
私がいつも利用するスーパーの駐輪場には、
カード式の公衆電話があります。
今日も買い物が済み、
公衆電話の前に止めた自転車の前に来ると、
その公衆電話がリーン、リーンと
鳴っているではありませんか。
周りには誰もいません。
仕方なく、私が受話器を取りました。
「もしもし‥‥、もしもし‥‥?」
すると、少しお年を召した女性の声で
「すみません‥‥」
と言って電話は切れました。
どこにかけようとして、
公衆電話にかかってしまったのでしょうか。
(のりこ)
十数年前のこと。当時中学生だった妹と
近くのデパートへ買い物に行きました。
何かを母に確認するために妹が公衆電話で自宅へ電話。
すこし離れた所で待っていた私の元に返ってきて、
「最初に掛けたら
110番
が出た!」
と言います。
「で、どうしたん?」との問いに
「間違えましたって切った」
まつがうわけないじゃんと思われるかもしれませんが、
我が家の電話番号の7桁のうち、
途中の3桁が「110」なんです。
公衆電話にお金を入れて通話できるまでの
タイムラグが引き起こした悲しいまつがいです。
「間違えました」と言われた警察は
きっといたずらだと思うんだろーなー。
(マドさん)
自宅に電話がかかってきました。
こちらが名乗らないままに
先方が話し始めたのですが、全く要領を得ません。
相手はおばさまの声で、
何かの物品の販売のようです。
「あの、なんのお話でしょうか。
身に覚えがないのですが?」
と言うと、
「そんなことはありません。
確かに以前お話しをしています」
と強気です。
カチンときた私は、精一杯冷静を装って、
「失礼ですが、
どちらに電話をかけたおつもりですか?」
と尋ねると、
「いえ‥‥それは‥‥
個人情報保護の関係
で、
お教えできません」
電話はすぐに切らせてもらいました。
(間違い電話? 新手の勧誘?)
ある日、わたし(あき)の携帯に
メッセージが残っていました。
「あ、もしもし、あきです。
‥‥う、あぁあ、母です。
あはははは、ガチャ」
ええ、あなたはあきではなく、
わたしの母です。
で、用件はなんだったの?
このメッセージは保存してあり、
今でもたまに聞いては笑っています。
(んらたあき)
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ありとあらゆる「まつがい」を募集してます。
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イラスト:しりあがり寿
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2008-07-12-SAT
© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN