その1634

あるところに、甲と乙があって、
甲がなにかを乙に言ったが、
乙は甲の言うことを違う意味にとった。
そこから乙は甲の思惑とは違う方向へと
何事かしゃべったのだが、どういう偶然か、
それはそれで意味が通ってしまった。
そしてしばらくやり取りは続き、
どこかの時点でふたりは「は?」となる。
これがいわゆる「かみ合わない会話」である。
そういったものを本日はたっぷりお届けしよう。
最後まで、どうぞ、のんびりと。
バイト先の休憩室での話
先輩「今日、山手線止まってたね」
自分「え!? 山の温泉に泊まったんですか」
先輩「結構止まってたよ」
自分「へぇ〜、でも、えらいですね〜。
   きちんとバイト来るなんて、
   今日ぐらい休めばよかったのに」
先輩「いや、これぐらいじゃ休めないよ」
自分「旅行の次の日くらい
   バイト入れなければいいのに」
先輩「えっ、旅行!?」
きちんと人の話聞かないから‥‥。
(早口で山の温泉)
夜遅くに、レンタルビデオを返しに行きました。
家に帰ると、兄がいきなり、
「彼氏できた?」
と訊いてきました。
は!? 夜遅くに一人で外出したから、
色気付いたと思われたのかな?
ビデオ返しに行ってただけなんだけど‥‥。
それよりもとりあえず返事をしなければ。
「できてないよ!」
「彼氏できてないの?」
「できてないよ! なんで?」
「お前行くって言ってたじゃん」
は‥‥?
よくよく聞いてみると、兄はずっと
「(ビデオ)返してきた?」と訊いていたようです。
あ、なんだぁ!
(返してきたよ!)
以前ある店で一緒に働いていた同僚に
久しぶりに会った時の事です。
店の奥さん(ミユキさん)の話になり、同僚から
「ミユキさんって
 どんな字書くんだっけ?
と聞かれ、私が
「小さくて、まぁるっこくて、
 結構くせがあるかな」

と答えると、
同僚は「え???」と、きょとん。
私も「ん?」と、沈黙。
しばらくして同僚が言いました。
「あ、いや、その字じゃなくて‥‥」
彼女が聞きたいのはミユキさんの名前の漢字で、
私はミユキさんが
どんな字を書くかを語っていたのです。
ちょっと考えればわかるものを。
そんなこと聞いてどうするんだろう、
とは思ったんですけどね。
(正解は美由紀さん)
ずっと前、職場の気の合う友人が
学生時代の親友を紹介してくれました。
私  「仕事、何してるの?」
その人「キャスター
私  「キャスター!!?
    すごい。なんの?」
その人「なんのって‥‥これ」
「タバコ、何すってるの?」と聞こえたそうです。
(フリーターだった)
スーパーで働いていた時、おじさんが
ひいたコーシーあっかい?(ある?)」
と聞いてきたので、コーヒーのコーナーに案内した。
「こちらになります」と、
挽いたコーヒーパックのコーナーを指差した。
おじさん「???」
私   「???」
おじさん「ひーたコーシーだっちば(だって)」
私   「この辺のコーヒーパックは
     挽いたコーヒーですよ」
おじさん「ちげーって(違うって)、
     ひーたコーシー。
     わがんねーがな〜(わからないかな)
     ひーたコーシーだっちばぁ。
     缶に入ってんのあっぺよ?(あるでしょ)」
通りかかった年配の仕事仲間に
「ひいた(ひーた)コーヒー」の事を聞いてみた。
彼女もわからなかったけど
おじさんが「ひーたコーシーあっぺ?
      この子に聞いても
      わがんねんだばよ(わからないんだよ)」
仕事仲間「あー! ひーたコーヒーね!
     外の自動販売機で売ってますよ」と‥‥。
「ひーたコーシー」=「冷えたコーヒー」
恐るべし訛り‥‥。
(Yumi)
研究室の飲み会に珍しくスカートで行った時、
お座敷で立ち上がろうとした私に、前に座ってた人が
「(スカート)危ないよ」と注意しました。
スカートの中に短パンを履いてた私は、
安心させようと思い、勢いよく言いました。
「大丈夫です!
 (短パン)履いてますから!
「いつも(パンツ)履いてないの!?」と
場は騒然となりました‥‥。
(カズカズ)
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『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』
まだ読んでいない人は、ぜひ、どうぞー。

イラスト:しりあがり寿


2008-08-05-TUE
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