あるところにふたりの人がいて、
仮にそれを甲と乙としよう。
甲と乙は元来なかよしで、
ふたりしてしばしばいっしょに過ごしたが、
あるとき会話が成り立たなかった。
甲は乙のことばを聞きまつがい、
乙は甲のことばを都合よく解釈した。
結果、生じる「かみ合わない会話」。
今日はどんな単語をきっかけに
かみ合わなくなるのやら?
どうぞ、最後まで、ごゆっくりー。 |
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新聞を開いた母が
「藤沢周辺って、いいのかねぇ~?」
と言うので、
「さぁ? 江ノ島とか?」と私。
その後、二人でしばしの沈黙‥‥。
そう、母は映画欄か何かを見て
「藤沢周平って、いいのかねぇ~?」
と言っていたのでした。
藤沢周辺について聞いてくるなんて、
おかしいと思った。
(bamo) |
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カルタを五十音順にそろえて
しまおうとしていた息子(当時幼稚園児)。
「ねぇ、ママ、教えて~。
『も』の次ってな~に?」 「やだよ」
「いじわるしないで、
教えてよ~!」
「だから、『や』なの」
「教えてよ!」
「だ・か・ら、『や』だって!」
「なんでだよ~、教えてよ~(泣)」
「だからね、『や』なんだよ~(泣)」
(kushipy) |
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すっかり秋の気配が漂ってきたある日、
同僚が「最近、日も短くなりましたな~」とポツリ。
さらに「ねえ?」と同意を求める声。
わたしの返事は
「へ? なんのヒモが短くなったの?」
「ヒモじゃないよ、日! 日照時間!」
とあきれられてしまいました。
ふだんはそんな風流なことを
言わない人だから、つい。
(にし) |
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友人がテレビ見て、
うちがマンガ読んでいたとき、
友人がテレビの俳優を見ながら、
「ニマイメ(二枚目)だねー」と。
まんがに夢中だったうちの頭の中では、
「ニマメ(煮豆)」に変換完了。
うち「(まんがを読んだまま)
甘いよねぇ~」
友人「なんか溶けそうじゃない?」
うち「(ページめくりながら)
そのくらいがいいよね~」
友人「それっていいんかなぁ?」
うち「(テレビには目もくれず)
おかんの好みでさぁ、慣れたよ」
友人「ふーん」
無事に会話終了~。
(聞きまつがい女王) |
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職場にて、
カッターを持ってるかどうか訊かれ、
「持ってます、持ってます!」
と勢い込んで言ったところ、先輩には 「ポーツマス、ポーツマス!」
と聞こえたらしく、
「え、あんたそんなキャラだったっけ?」
と不思議がられた。
(猫ひろこ) |
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小学生の女の子に
「将来なにになりたいの?」と訊いたら 「ブリキ屋!」と元気よく答えた。
「ブリキ屋とは!
これまた堅実なお子さんですねぇ!」
とお母さんに言ったら
「プリキュアになりたいって
言ってるんですけど‥‥」と。
(kubo) |
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吹奏楽部の私とO、
そして吹奏楽部じゃないAとの会話です。
A「ねえねえ、コントラバスって
(値段が)高いの? 低いの?」
私「(音が)低いよ」
A「(値段が)高くないの?
あたしバイオリンより高いんだと思ってた。」
私「(音は)バイオリンが一番高いんだよ。
コントラバスは一番低いよ。ねえ、O?」
O「(話を聞いていなかった)え、なに?」
私「コントラバス(の音)は低いよね?」
O「何いってるのさ!
先輩とか(レベルが)めっちゃ高いじゃん!」
A「先輩のは(値段が)高いの?」
私「先輩は(音の高さに)関係ないじゃん」
O「先輩は金賞取ってるんだよ!?」
私「いや、音の話をしてるから!」
A「いや、値段の話」
私、O「え!?」
なぜ「高いの? 安いの?」ではないのか。
(高いよ) |
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ある日の中学生との会話。
ほぼ日のことを話そうとした時のこと。
私「糸井重里さんってわかる?」
中学生「わかんない。何に出てる?」
いろいろ挙げるも、彼女には全てわからない様子。
困り果てた私「樋口可南子さんはわかる?」
中「ホワイト家族のお母さんでしょう?」
私「そうそう! その人のだんなさんなんだけど」 中「‥‥いぬ?」
ごめんなさい。糸井さんが白い犬になっちゃいました。
(シロ) |
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