甲と乙があって、ふたりが話すとしよう。
甲は乙の話を早合点し、
乙は甲の言葉を違う意味に受け取った。
すると当然、両者の会話は成り立たないのだが、
破綻はすぐさま現れるわけではなく、
いくつかの言葉は偶然に
そのまま交わされたりもする。
それがすなわち「かみ合わない会話」である。
いったいどこでどんなふうに
会話がかみ合わなくなっていくのか。
見定めながら読むもまた一興。
最後まで、のんびりお読みくださいませ。 |
 |
 |
大型の冷蔵庫を買った時です。
店員さんが「配達はシナイですね」と言った。
私、驚いて「いえ配達してください」と。
頭の中では冷蔵庫をここから
どーやって運ぶの? と焦っていた。
私、気付きました。
「配達は市内ですね」と言ったことを。
(力持ちのみっちゃん) |
 |
兄の家はオール電化です。
ある日、夫が
「お義兄さんち、電気?」と訊くので、
私は「そうやで」と答えました。
すると、
「○子姉さんも(義姉の名前)電気?」と。
(‥‥へ?)なんで別々?
しばし答えに窮す私。するとまた
「こどもたちもみんな電気?」
(えーっ、なんのこと?)
私の頭はパニックに。
「えっ、なんのこと?
あの家はオール電化やけど!」
どうやらそんなにひんぱんに
兄家族と会っていない夫は、
「おにいさんち、みんな元気?」
と私に訊いていたのでした。
(うちはガスストーブ) |
 |
当時、彼氏だった主人の家に遊びに行った時のこと。
彼氏のお母さんが買い物に出掛け、
彼氏がトイレに行っている間、電話が鳴りました。
よせばいいのに、用件だけでも、と電話を取った私。
「はい、○○です。」
「あ、ウラノ ヤスミツですが‥‥」
「あ、今、家の者が出掛けておりまして、
すぐ戻ってきますので‥‥。
失礼ですが、もう一度お名前を‥‥」
「ウラノ ヤスミツです」
「ウラノさんですね。伝えます」
「? ええと、ヤスミツですが‥‥」
「はい、ウラノヤスミツさんですよね?」
という会話が続き、
わけが判らないまま、電話を切るハメに。
お母さんがすぐ帰宅したので、
電話の内容を報告すると、大爆笑。
訳が判らず、ポカンとする私。
「ウラノさんじゃなくて、
うちの裏の、安光さん!」と、お母さん。
そのとき、裏口を叩く人が。
安光さん、当人でした。3人で大爆笑!
長いトイレから戻った彼氏が変な顔してたっけ。
(のむ) |
 |
休憩室に柿が置いてあった。
K「へ~! これ52糖度だって~」
S「ええっ! あまっ!」
K「え‥‥あまい? あまいかなぁ?」
M「52糖度って‥‥」
K「うん、ご自由にどうぞ~。
もらっていいかなぁ」
そこにいた全員が、「52糖度」としか聞こえず、
一瞬口の中が妙に甘い感じになりました。
(超~甘柿) |
 |
今日、母と買い物に行き、
コートを買ってもらいました。
赤いコートとグレーのコートがあり、
私は赤にひかれたのですが、
店員さんも母も「絶対グレー」と言うので
結局グレーに。
とても満足して帰り道興奮気味に母に
「店員さんも『断固グレー!』って
感じだったよね!」
と言うと母は
「だんこぐれー?」
となんだか腑に落ちない様子。
だってホントに
「断固グレー」って感じだったのに‥‥
と不思議に思いながら
同じような問答を3回ほど続けたところで
母はやっとわかってくれました。
母は私がずっと 「ダン・小暮」
と言ってると思ってたらしく
「誰だソレ?」と思ってたみたいです。
そんなファッションアドバイザー
いそうですよね。確かに。
(あっこ) |
 |
ある日の夕方。
息子「僕、今日、版画で褒められた!」
主人「え?」
息子「今日学校で、版画で褒められたの!」
主人「え?」
息子「版画! クラスで一番上手だって
見本にされたんだよ」
主人「‥‥ああ!
『カンガルーに踏まれた』
って言うから何事かと思った」
(上野駅のうえの) |
 |
どのような「まつがい」でも
私たちは幅広く受け入れる用意があるのです。
理由は「なんとなく」でもかまいません。
ふと投稿したくなったなら、
下の「投稿する」ボタンを「えい!」とクリック。
ことのあらましを簡潔に書き表し、
できたところで送信ボタンを押してください。 『金の言いまつがい』と『銀の言いまつがい』、
秋の夜長にぜひクスクスどうぞ。 イラスト:しりあがり寿 |