その1855

プルルル‥‥プルルル‥‥ガチャ。
「はい、もしもし」
「もしもし、○○さんのお宅ですか?」
「いいえ、ちがいます」
「失礼しました」‥‥ガチャ。
と、まぁ、これが一般的な間違い電話ですが、
本日、お送りする「まつがい電話」は
この基本形をはるかに逸脱します。
簡単にいうと、たいへんドラマティック。
どうぞ、最後までお楽しみくださいませ。

電話に出ると‥‥。
「○○ちゃぁぁぁぁんっ!
 パパでちゅよ〜〜〜っ!!」

と、うれしさ満載の声。
一瞬ひいたものの、
黙っているわけにもいかず
「あ‥‥あのー‥‥」と返事をしたら、速攻で
「間違えました!」と電話が切れました。
きっと電話の向こうで「やっつまった〜」と
汗をかいているんだろうと思います。
微笑ましい間違い電話に、一人なごんでました。
(翠)
自宅の電話に留守電が入っていました。
「○○、
 結婚するんだって?
 おめでとう!!
 いろいろあったけど、
 ○○の幸せを祈ってるよ。
でも、なにかあったらいつでも連絡して!」
と、どうやら、元カノに宛てたメッセージ。
内容が内容だけにドキドキしました。
彼の思いがちゃんと彼女に
伝わっていればよいのですが。
ちなみに私は結婚していませんし、
その予定もありません。
(ウェデイング)

携帯の留守電に入っていたメッセージ。
「もしもし〜、
 おばあちゃんだけど。
 このお菓子は
 食べてもいいの?
 ‥‥ガチャッ、
 ツーッ、ツーッ、ツーッ」
非通知だったので、かけ間違っている旨を
伝える術はありませんでしたが、
「食べてもいいよ!」と
言ってあげたかったです。
(しましま)

「もしもしタカハシさんのお宅ですか?
 ○○○○クリニックですが、
 ツネオさんの
 入れ歯の型
 取り直したいと思いますので、
 ご連絡ください。失礼しまーす」
という「まつがい電話」の
留守電が2回入っていました。
電話番号を言ってくれない上に
クリニック名も聞き取りづらいので、
まつがいであることをずっと伝えられません。
きっといつまでたっても
ツネオさんの入れ歯は調子が悪いまんま。
ちゃんとご飯が食べられているか心配です。
(私は入れ歯はありません)
お得意先に電話をかけた時のこと。
呼び出し音が鳴っている間、
ディスプレイに出た番号を見たら
‥‥まずい、間違った!
と、思ったら先方が出たので、
「○△協会さんですか?」
と仕方なく言ったところ
相手は「はい!」と。 
「‥‥え?」
ええい、こうなったら、と開き直り、
「■井様からいただいた
 ××についてのメールの件で‥‥」
と切り出すと、なんと相手は、
「はい、お待ち下さい」
と電話口を離れ、しばらくして
「あいにく席をはずしております」と。
このままじゃ折り返し電話を
もらうことになりそうな雰囲気。
意を決して私は言いました。
「‥‥あの、
 ○△協会さんじゃないですよね?」
「違いますけど」
「‥‥すみません、間違えました」
10秒くらいで終わるはずのまつがい電話に、
かなり時間を費やしてしまいました。
しかも担当者の名前も用件も
通じてしまうなんて! ミラクルです。
(渥)
先日、携帯電話の留守電に「弟」から
「姉ちゃん!
 迎えに来て〜!」

と入っておりました。
「弟」がいる場所に
心当たりがなかったので、
そのままにしておきました。
「弟」よ、ごめんな。
姉ちゃん、一人っ子なんだ。
(おかよ)
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イラスト:しりあがり寿


2009-03-14-SAT
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN