その1859

すべての子どもたちは
美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
ところが、その燃える命ともいえる名前は、
しばしば他者によってあっさりと
「まつがわれて」しまうのです。
そんなわけで、行ってみましょう、
本日は「名前の言いまつがい」です。
「まつがって」呼ばれたりすること、
誰しも、ありますよねー。

「靖子」という名前です。
「晴子様」と宛名に書かれるのは
しょっちゅうですが
「鯖子様」と書かれたときは、
ちょっとショックでした。
(さばこ)
我が家で言い継がれている、
知り合いの原さんに関するエピソードです。
電話で、原さんは言いました。
「わし、原だけど」
わしはらさんですか?」
「いや、ただ、原だけど」 
ただはらさんですか?」
「いや、原だ」
原田さんですか?」
(へほみ)
私の苗字は「赤谷(あかや)」です。
漢字で書くと簡単なのに、
聞き間違いや、読み間違いは
すごくすご〜く多いのです。
聞き間違い編。
「お名前は?」
「あかやです」
なかやさん?」
「あかやです」
たかやさん?」
読み間違い編。
あかたにさん?」
せきやさん?」
せきたにさん?」
ふりがなが振ってあっても
なぜか、間違えられます。
あやかさん」
アヤヤさん」
もう、絶句です‥‥。
この27年間、間違えられっぱなしです。
訂正することに疲れています。
普通の名字がうらやましいです。
お嫁に行くときは、
普通の苗字になりたいです。
(ぶんぶん)
「ワタナベ」さんという友人がいます。
特別変わった苗字ではないのですが、
漢字にすると「渡邊」となるので、
彼女の小学生の頃の友達にとっては
かなり難しい苗字だったようです。
簡単な「渡辺」でもかまわないと
言っておいたのにもかかわらず、
様宛ての年賀状がよく届いたそうな。
途中で挫折?
(よく届いたなぁ)
「西川キヨコ」さんというお客様が
お帰りになった直後に、
「水谷ミネコ」さんという方が
いらっしゃったので、担当者に
西川峰子さんがみえてます」
と伝えてしまいました。
「誰?」と聞かれて、
初めてごっちゃになってるのに気づきました。
(m)
私の名前は「マキ」といいます。
イタリア語圏で苦労しています。
イタリアで名前を訊かれて答えると、
意味としてはこうなってしまうのです。
イタリア人「あなた名前は?」
私「でも、誰?」
イタリア人「はぁ〜?」
私「私の名前は、MAKIという綴りです!
  『Ma, chi? 』ではありません!」
イタリア語で「マ(ma)キ(chi)」は
英語に置き換えると
「But(ma) who(chi)?」なんです。
(マキ)
海外で英語の学校に通っていたころ、
仲良しの友達ができました。
最初から隣に座って授業を受けていた人です。
お昼ごはんも一緒にとり、仲良しでした。
彼女の名前は「Amy」で、私の名前は「Ami」。
「エイミィ」「エィミィ」です。
先生が小さい声で名前を呼ぶとき、
答が分からないとき、
あまり積極的に答えたくないとき、
二人で「自分じゃない」と
指名拒否し合っていました。
勿論、そのたびに怒られ呆れられていました。
最後まで自分の名前の発音が一番難しかったです。
(友達の「ゆう」ちゃんは、もっと大変だった)
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どうぞ、よろしくお願いしますー。

イラスト:しりあがり寿


2009-03-18-WED
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN