その1988

名作満載、「まつがい電話」の特集です。
「まつがい電話」といっても、
もしもし、○○さんのお宅ですか、
いいえ違いますよ、失礼しました、ガチャン、
というようなありふれたものではありません。
ずばり、「まつがい電話」は
もっともっとドラマティック!
呼び出し音からはじまるミラクル劇場。
どうぞ、最後まで、ごゆっくり。

以前、ひとり暮しのアパートで、防犯のため
電話に出るとき名乗っていませんでした。
ある夜、「はい」と出ると男性から
「昨日はごめんっっ!」
といきなり謝られました。
前日、誰かに謝ってもらうようなこと
されたっけか? と思いつつ、
「どちらさまですか?」と私。
「イトウです。僕が悪かったっっ!」と先方。
知人の伊藤さんには会ってないなぁ‥‥
と考えながら
「どちらにおかけですか?」
「‥‥すまなかったっ」
やっぱり心当たりがないので
「あの、お間違えかと思いますけど‥‥」
「‥‥‥‥」
ほどなく電話は静かに切れました。
(仲直りできた? イトウさん)
一人暮らしをはじめて
電話を引いたばかりの頃。
深夜、部屋に入ると
留守番電話のランプがついているので
わくわくして再生すると、
こんなメッセージが。
「○○です。
 △時に女の子が生まれました。
 母子共に健康です。
 帰ったらすぐ来てください」
心当たりはありません。
もう対面できたはずだよね、
おめでとうございます、
と幸せを分けてもらって寝ました。
(池)
私が高校生の頃の出来事です。
我が家に掛かってきた電話を
中学生だった妹が取りました。
「○○さんのお宅ですか?」
「はい」
「あ、○○さんですか?」
「(我が家は全員○○さんなので)
 はい」
「ボク、△△高校の××です!
 あの‥‥つきあってください!
妹はまつがって告白されました。
(元△△高校の○○さん)
いつもは見知らぬ番号からの電話には出ないのに
なぜかふと出てしまったら、まつがい電話でした。
相手は飲み会帰りの酔っ払ったおっちゃん。
単身赴任中で、残してきた奥様にかけるつもりが
私にかけてきてしまったようで、
何度も謝られました。
そのまま切るつもりが、
おっちゃんがなぜかそのまま
単身赴任先の部下の人柄、
仕事内容など
を機嫌よく話し始め、
結局1時間付き合いました‥‥。
おっちゃんの勤め先、名前、出身地、最終学歴、
年齢、家族構成まで全て知ってしまった挙句、
最後には下ネタ満載で口説かれた私。
おっちゃん、あの後、
酔いが醒めて真っ青になったやろうな‥‥。
(我ながらよう付き合ったもんです)
派遣で仕事をしています。
昨日就業後に、担当の営業(Sさん)から
留守電が入っていたのでかけなおしました。
私「先ほどSさんから
  お電話いただいていたんですが」
受付の方
「かしこまりました。少々お待ちください」
しばらく待っていると、
「お待たせしました。
 Oでございます」と、違う方が。
私「えっと、Sさんから
  お電話いただいていたんですが‥‥」
Oさん「あらっ! 失礼しました。
    少々お待ちください」
さらに待っていると、
また知らない方が登場し、
こちらがことばを挟む隙もなく、
「もしもし、実はですねえ、
 今回ご紹介した仕事は
 残念ながらダメになってしまったんですよ。
 いや、まったく○○さんに
 問題があったわけじゃなかったんです。
 実は‥‥」と、延々と
息継ぎもなしでご説明くださいました。
私「あ、あの、私はSさんに
  代わってもらおうと
  思っていたんですけど‥‥」
とようやく言うと、
また「あれっ?」の後で保留音。
ようやくお目当てのSさんと
お話しすることができたのでした。
(くまぼぼ)
20年くらい前の
ナンバーディスプレイなどない時代の話です。
息子が
「お化け電話って知ってる?」
と、聞いてきました。
そこに電話をかけ、何も言わずに切ると
電話がかかってくるそうなのです。
「かけてみたい」と、言うので
「いいよ」と、かけさせたら、
本当に電話がかかってきました。
びっくりして、おそるおそる電話に出ると
「こちら110番、どうされましたか?」
相手から見えないとわかっていても
土下座して謝りました。
(みーこ)
「まつがい電話」にかぎらず、
どのような「まつがい」でも、
どうぞ遠慮なく私たちにお送りください。
下の「投稿する」ボタンをクリックし、
あなたが知っているとっておきの失敗談を
だいたいの感じで書き表し、
できたところで送信ボタンを押してください。
なにしろ、お気軽にどうぞー。

イラスト:しりあがり寿


2009-07-25-SAT
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN