その1991

あるところに二者あった。
一方を甲、他方を乙として、
甲が乙に何事か告げたつぎの刹那、
乙は甲のことばを聞き損なった。
が、繰り返しを要求せず、
だいたいの察しをつけて乙は甲に返した。
甲はその乙のことばを都合よく曲解した。
しばし、薄氷を踏むがごとく会話は流れ、
ややあって事態が完全に頓挫する。
これが、いわゆる「かみ合わない会話」である。
要するに、下のようなことですよ。

お腹がペコペコだった夕方。私と母の会話です。
私「今日の夕飯なにー?」
母「暴露本」
私「‥‥夕飯だよ!?」
母「うん、だから暴露本」
私「何で!?」
母「何でって‥‥あんた好きじゃん!」
私「暴露本なんて読んだことないよ?」
母「はぁ?
  なんでそこで暴露本が出てくんの?」
‥‥マグロ丼でした。
(ツナ)
職場のコピー機の順番待ちで。
「もうすぐ終わります」
「あとどれくらいですか?」
「2セットです」
2千!!??
 ‥‥もういいです、上の階でやってきます」
「や、もうすぐ終わるから」
「って2千でしょ?」
「うん、2セット」
噛み合わねえ!
(AKARU)
今会社にて。
男性社員が私のところにやってきて
ショートケーキある?」と。
私は事務雑務すべてをやっているので
何か探していたり購入したりするときは
みんな私に聞きに来るのですが、
ショートケーキは‥‥常備してないし。
おやつに買ってきて欲しいんだろうか?
とか思い、不思議なままに
「‥‥イチゴの?」と聞いてみると
「え? ショートケーキだよ。ほら」
と言いながら差し出した
指先に傷があって血が出ていました。
「???」とそれを見ていると、
隣の女の子が「消毒液ですよ〜」と。
(ぷよ)
ある日、よく通っていた
お店の新人さんと話していた時のこと。
私の職業を聞かれて
「下着屋さんだよ」と答えると、
ちょっと驚いた顔をして
「‥‥大変じゃないですか?」と。
「ん〜、でも色んな人と出会えるから楽しいよ!」
と答えると、更に驚愕の表情に。
そのまま話していたら、
だんだん会話がかみあわなくなってきたので
よくよく聞いてみると、
彼女は「下着屋さん」を
死体屋さん」
と聞きまつがっていたようでした。
死体と楽しく出会える仕事って‥‥。
(今は無職)
A「今日は何日?」
私「11日」
A「だから、今日は何日?
私「11日!!」
A「そうじゃなくて、今日は何日?」
それまで聞いていたBが
なんでもないように言い放つ。
B「水曜日よ」
A「ありがと!」
B「そういうときは、
  『今日は何月?』って聞くんだよ」
私「‥‥」
まともなのは私だけじゃん!
(これって言いまつがい?)
ずっと昔、会社のテニス部で初心者のための
テニススクールのコーチをしていました。
スクールの仕上げにゲームをやろう
ということになって、女性4人がコートに入り、
私は台に座って審判でした。
初心者どうしの試合は退屈なもの、ゲームの途中、
ついスコアを忘れてしまった私は、
前衛でネットの近くに立っているM子に聞きました。
「Mさん、今いくつやったっけ?」
「いや〜ん! ハタチですぅ!」
審判台から歳なんか聞くか〜!
(よう)
どのような「言いまつがい」でも
私たちに遠慮なくお送りくださいませ。
「こういうのでもいいの?」と
やや不安に感じているあなた、
そういうのでまったくかまわないんですよ!
さぁ、下の「投稿する」ボタンをクリックし、
ことのあらましをだいたいの感じで書き表し、
できたところで送信ボタンを押してください。
それでは、また明日、お会いしましょう。

イラスト:しりあがり寿


2009-07-28-TUE
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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN